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「父親力」はテキトーさとわがままこそ真価②思春期

「母親を生きる」というのは、人生で最も過酷な試練。

悩みに悩んで選んで重ねた子育ての決断。子どもが大きくなるにつれ、自分の子育ての点数がつけられていくプレッシャーを感じる。さらに、子ども本人からの生意気な?点数換算も増える。はっきりいって「やってられない」。

そんな時、隣を見ると父親がいる。子どもの心配や、子育ての悩みでいっぱいの自分に対して、テレビを見て笑うのんきな姿にイライラっとした、あるいはニュースを見て意見を言う父親に、「子育てにも意見言ってみたら?」と心がひんやりしたことのある母親は多いだろう。

学校から呼び出されて頭を下げた日の夕食で、のうのうとけんか相手の子の欠点を数えて見せる父親に、「じゃあ、それを学校でやってみろ」とののしりたい気持ちを必死で抑える苦しさ。まさに「やってられない」

こんな母親に父親はどう関わるか?

違う。

父親力とは応えないことにある。放置することにある。テキトーさとわがまま。父親力の源泉と真価はこの2つ。

絶体絶命を打開する父親力

父親には母親ができないことをできる力がある。こんぐらがった糸を、すっぱりと切り落として、繋げ直す力がある。

これは我が家で実際に起こったこと。

4年も続けている習い事の年間最大イベントを月内に控えた時期に、小6の娘がストライキを起こした。際立ってうまいとは思わないけれど、下手ではないのに、娘は「自分は下手すぎるから、うまくならないから辞める、イベントも出ない」と。

お手上げで、連日のリハーサルを1週間も休んだ。1週間経った日曜、嫌だと泣く娘をバイクに乗せて、夫はスタジオに向かった。しかもスタジオについたら、娘を押し込んで「じゃあね」と言ったらしい。

開いた口が塞がらない。私にはできない。しかも、2時間後にニッコニコで帰宅した娘。現在は、あと何年でも習い続ける宣言をしている。

父親、すごい。

すっかり行き詰っておろおろし、ろくな説明もなしに「どうしよう?」ばかり口にして、挙句に「どうにかして!」と押し付けたのに、すっぱりさっぱり解決してしまった。私の気配りや思いなどしっかり放置して、全く別のやり方で、全く別の方向から解決してしまった。

ものすごくテキトーで、ものすごくわがままなやり方で。

難しい学校との話し合いをぶち抜く父親力

我が家の子どもたちは3人揃って不登校。病気で倒れて最初に登校できなくなった上の息子から数えて4年目の不登校生活。小言も説教も聞かされるだけ聞かされた感がある。担任からも保健室からも、適応指導教室からも、病院からも、さまざまなことを聞かされてきた。

そして現在、すっかり臆病になり、ハリネズミ状態になった私。耳をふさぐことを覚え、電話は留守電にして出ないし、来客も基本無視。外からの雑音を遮断して、日々の笑顔と活力を守っている。

そんなさなか、1年間ほとんど登校していない娘が、学校復帰したいと言い出した。はい、そうですかと行動するには、もはや学校の予定も知らないし、時間割表も持っていない。学校に行ったはいいけれど、無理をする前に逃げる場所を確保しないと安心していかせられない

しかし、その相談をしに学校へ向かう気に私はなれない。こちらの頼みごとを文書にするにはした。でも、それを差し出して一読した先生方が「あーまたお母さん、甘やかしちゃって…」という場面が眼に浮かぶのだ。

1週間お願い文書をにらみ続けて、私はそれを夫に渡した。

夫は午後休を取り、あっさりと済ませてきた。普段着の母親が行くより、会社帰りのスーツ姿の方が、威厳があったろうことはさておき、反論もされなかった様子。父親はすごい。

心配や根回し、先走る想像で身動き取れなくなる母親に対して、その場その場で考える父親のテキトーさ。周囲を動かす鷹揚さに通じるわがまま。父親は偉大だ。「父親力」は偉大だ。

父親のテキトーさとわがままを信じよう

母親のすごさは、先へ先へと予想し、懸案事項を回避するなり、対処法を用意するなりして立ち向かう点ではないかと思う。そのために、まだ起こってもいないことにやきもきして、身動き取れなくなること、多いのではないだろうか(私だけ?)。

父親はその時その場の流れを判断することに長けている。そして、おおざっぱな未来地図で行き先を決めていく。まさにテキトー。しかし、考え過ぎて未来へ向かって行動できないよりも、ひとつひとつの行動の結果に、テキトーながらも対応して進んでいく方がどれほどいいか。

子育ては、育つ子どもに合わせて変化していくもの。止まっていることこそがよくない。動くために、変化するためにこそ、父親力は強力に効果を発揮する。

父親力はテキトーさとわがままにこそ真価がある。止まらず変化し育っていく子どもに、動き、変化する父親の力は偉大。

すべての父親よ、自信をもって、テキトーにわがままに進め。

(①幼少期 はこちら↓)


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