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30℃越えの現実猛暑世界で、市川春子ワールドに浸る

梅雨なのにしんどい猛暑が続きそうですね。いかがお過ごしですか?

『宝石の国』が無料で読めると聞いて、どっぷり浸かってまいりました。コミックDAYSさんありがとうありがとう。
「地獄」と形容される読者さんがいらっしゃるように、たとえるなら氷河で湯治してるみたいな感覚でしたが。

第1印象→フォスかわい〜応援したい〜がんば!(シンシャ推せる……)
第2印象→あれっなんか…………あれ? ゴクリ(いろいろ呑み込む音)
その先→あっ、あっ、あぎゃーーーーーーっ??!!!

ま、待って、引かないで、、情緒がヤバいだけだから!

穏やかで美しい存在たちのキラキラした話かと思いきや、繊細でやわらかなところを鋭角で抉ってくる容赦のなさ。鬼かな(褒めてます)。なんかこう、常に小針を呑まされるような読書体験というか(めちゃくちゃ褒めてます)。

宝石のキャラって、いっさい崩れぬ端正なご尊顔(と、スレンダーボディ)を惜しみなく晒しながらドチャクソ熱い言葉吐くよね。
「読者が泣くときは、主人公も泣いている」ってのが創作セオリーだと思ってたけど、市川春子というお方の手にかかると別の次元がひらけちゃうんだな。
やっべーと思いました。脳みその温度めっちゃ上がった。

『宝石』の世界で頭がバーストした私ですが、おかげで作者の市川先生に興味が湧きまして、作品集『25時のバカンス』を買ってみました。


表題作ほか同時収録は「パンドラにて」「月の葬式」この3作品ぜんぶ良かった。なにがよいって、かわいいと切ないのバランスがすごく良い。宝石に手を出すのが怖い人はこっち読むといいよ(無料じゃないけど)。『宝石の国』誕生前夜感も味わえるよ。

表題作「25時のバカンス」は目に傷を負った弟と、天才研究者である姉の話。
前編後編とありますが、後編の展開と畳み掛けは叫びたくなった。読者の脳髄に向かって、かわいいと切ないが交互に斬撃を繰り出してくるよ!

▼わいのお気に入りのセリフはこれ▼
「これ以上近づけないのなら 今度は遠のく日がひどくおそろしい 最高得点で時を止めて逃げてしまおうという算段ですね」

市川春子『25時のバカンス』p.103

弟としばらく会わないうちに、なんだかどえらいことになっていた姉。
姉の飄々とした態度の奥には「何」があるのか。どんな考えがあるのか。
市川春子ワールドで、かわいいと切ないのボディブローを感じてください。(表紙涼しげだし、これで猛暑も乗り切りたい)

宵待ブックスの記事をお読みいただき、ありがとうございます。どの記事も無料なので好きな時にアクセスしてください。ズボラなのでコメントなどお気遣い不要です、読んでもらえたら嬉しいです!(ちなみに、ハートを押すと「月の異名」が飛び出します。)