コーヒーの好き嫌いは遺伝子で決まる

コーヒーは世界中で最もよく飲まれる飲み物の一つです。我が家の朝も1杯のコーヒーで始まりますが、その効用は人によって様々。その理由は遺伝子発現にあります。

私は、コーヒーを飲むとすぐにトイレに行きたくなりますが、夫は全然平気。コーヒーを飲みながら、トイレ休憩なしに何時間もドライブできます。

なぜだろうと思っていましが、その理由は10数年前に受けた遺伝子検査で判明しました。私はカフェイン代謝が遅く、夫はカフェイン代謝が早い体質だったのです。

カフェイン代謝を決めるのはCYP1A2とAHRという、2つの遺伝子です。CYP1A2 は、肝臓内でカフェインを代謝するための酵素を作り、AHRは、その酵素の量を決める役目があるタンパク質を作ります。

私はAHRの発現が低くて酵素が作れないか、AHRは十分あっても酵素を作れないため代謝が遅く、夫はその逆だったのです。

代謝が早い夫の体内では、カフェインの効果は長続きしないため、たくさん飲んでも脳への影響はすぐに消失してしまいますが、私の場合はいつまでもカフェインが体内にとどまるので、頻尿になったり、寝付けなかったりするようです。

それ以外でも、眠気を誘う脳内ケミカル、アデノシンの受容体遺伝子、ADORA2Aの変異がカフェインの睡眠への影響を左右する、ドーパミン受容体遺伝子、DRD2の変異で、コーヒーが好きか嫌いかに影響するなどもわかっています。

ホットコーヒーと、レッドブルやモンスターエネルギードリンクなどの、冷たいカフェイン飲料の違いは、食品と薬物の関係に似ています。

ホットコーヒーは、カフェイン以外にも健康効果のあるポリフェノール類が入っている自然食品で、熱いコーヒーの一気飲みは不可能。コーヒーの多飲による死亡例はありません。

一方のカフェイン飲料は、カフェインという化学物質と砂糖と添加物でできた中毒性のあるゴクゴク飲める加工品で、アメリカでは、近年14歳の女子を含む複数名が一気に多飲して亡くなっていることから、問題視されています。

薬物効果を期待して飲むカフェイン飲料より、香り高いブラックコーヒーをゆっくりと楽しむのが、心にも体にも良いようです。

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