Kaizen powered by Ollo
9月も下旬になってようやく目に見えて涼しくなってきました。夏の間は日が沈んでからでないととてもランの練習ができませんでしたが、ようやく日中に走ることができるようになってきました。そして先週末は地元での横浜八景島トライアスロンフェスティバル。いよいよシーズン後半戦の開幕です。
日本発グローバル
日本語の単語がグローバルに通用するといえば、代表例は「Sushi」。今や世界中の大都会はもとより、アメリカの片田舎でも「Sushi」が食べられる時代です。日本人としては、寿司ではなく、寿司的な何か、と感じることも多いですが(笑)。あとは例えば、「Manga」「Anime」など。秋葉原にはMangaやAnime好きのインバウンドの方が多く集まっています。
かなり昔になりますが、私が、なるほど、これは海外でも通じるんだ、と思ったのが、「Karaoke」。ご存知だと思いますが、カラオケの語源は「空(から)のオーケストラ」。日英のハイブリッドの単語が、日本発のグローバルな単語となっているわけです。ちなみにこれもご存知の方が多いと思いますが、カラオケは中国語では「卡拉OK」となります。ここでもハイブリッドになっているのが面白いですね。
同様に日本発でグローバルな単語となっているものに「Kaizen」があります。日本のカイゼンがグローバルな製造業で取り入れられた際に、言葉としてのKaizenもグローバルになったという訳です。教科書的には改善の英訳はImprovementとなりますが、Improvementは問題があるものを解決するというニュアンスなのに対し、Kaizenは、継続的な課題解決によってより良くするというニュアンスの違いがあります。
面白いのは、カイゼンという単語のルーツは日本語ですが、その考え方のルーツは、アメリカにあるということ。もともと日本にカイゼンの考え方を持ち込んだのは、アメリカ人の統計学者であるWilliam Edwards Deming(デミング)博士であると言われています。アメリカでは品質管理の重要性が認識されていなかった時代に日本に来日し、日本で統計に基づいた品質管理の重要性を説き、それが日本の製造業のモノづくりにつながったと言われています。今でも毎年デミング賞が発表されますが、これはTQM(Total Quality Management)における優れた功績を表彰するものです。
つまりカイゼンの考え方はアメリカで生まれ、それが日本で定着し、そしてKaizenという単語として再びアメリカはもちろん、グローバルに定着したということになります。
GEという会社
私がUCLAのビジネススクールに留学していたのは、1995年から1997年ですが、この頃、日本の製造業は世界を席巻していました。そこにはもちろんカイゼンの力がありました。もっとも、アメリカの製造業も負けてはいない。1980年代の後半にはSix Sigmaという概念が提唱されましたが、これはまさに統計的な品質管理の手法。提唱したのはMotorola(モトローラ)ですが、その際には日本の統計的品質管理手法を参考にしたと言われています。
そしてこのSix Sigmaを極めたのが、GE(General Electric)。製造業としてはもとより、金融やサービスの世界でもこの手法が有効であることを示しました。このSix Sigmaにおいて、活動をリードする人のことをBlack Belt(黒帯)と呼びますが、こんなところでも日本へのリスペクトが見えているような。
つまりカイゼンの世界においては、GEというのは、特別な存在です。色々な流派はあるにせよ、その一つの家元と言っていいでしょう。
そんなGEをルーツに持つGEヘルスケア(GEHC)の日野工場は、まさにカイゼンの道場。世界経済フォーラム(WEF)より第4次産業革命をリードする世界で最も先進的な工場として日本で初めて「Lighthouse(灯台)」に認定されている世界でもトップクラスの工場でもあります。GEHC日野工場では、日頃からカイゼン活動に取り組んでいる訳ですが、この度、カイゼン活動を加速するAIツール"AI-based kaizen tool"として、Ollo Factoryのことを紹介いただきました。
私も先日チームの仲間とともにGEHC日野工場を訪問したのですが、日野工場のカイゼン担当者であるMさんが「Ollo Factoryを使うと、カイゼンがサクサク進んで、とにかく楽しい」と目を輝かせてお話しいただいたのがとても印象的でした。
こんなところでも日本とGE
カイゼンといえば、日本、でもグローバルなKaizenのリーディング・カンパニーといえばGE。実は日本とGEにはもう一つ有名なつながりがあります。これもご存知の方も多いと思いますが、GEの創業者はあのThomas Edison(エジソン)。誰もが知る発明家です。
エジソンの発明として有名なのが、白熱電球ですが、当初は発光する部分であるフィラメントが長持ちしないという課題がありました。そこでエジソンが目をつけたのが竹。京都の竹(炭化させた竹)を用い、初めて商用化に耐える白熱電球を作ることができました。ちなみに、GEHC日野工場を訪れると、入り口でこの竹のフィラメントを使った白熱電球を見ることができます。
アメリカと日本と。Kaizenとカイゼンと。そして今、GEとOlloと。お互いに学び合いながら、OlloはGEにおけるカイゼンをカイゼンするお手伝いをしていきたいと思っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?