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そして事件は常磐線で起きた

全く予期していなかった事件は、梅雨入り後だというのに、もはや梅雨明けのように暑い日に起きました。

その日私はとある会社の工場を訪問するために、東京駅から常磐線の特急に乗っていました。目的の駅で下車し、改札を通った時に異変に気が付きます。なぜかポケット、正確に言えば右前のポケット、が軽い。いつもであれば小銭入れが入っており、特に小銭が多い時にはそれなりの存在感を示すはずなのに、あまりに軽い。

何らかの拍子に別のポケットに入れたのかも、とジャケットとパンツの全てのポケットを確認しますが、ない。何らかのはずみでカバンに入れたのかとカバンの中を確認しても、ない。まじで!? 何かをなくしたことがないとは言わないまでも(ハンカチとか)、私は基本的にモノをなくなさない人のはずなのですが。

軽くパニックになりながらも、冷静に、まずは駅の係員の方に相談します。小銭入れを落としたかもしれません、と。座っていた座席は6号車の6A。もう特急は出発した後ですが、途中の駅で確認いただけるとのこと。実はこの特急、なんと東京から4時間半かけてたどり着く先は仙台。仙台まで行ってしまうと取りにいくのも大変です。

とりあえずもはやできることはないので、ひとまず訪問先に向かいます。

長財布と小銭入れ

もともと私は長年二つ折りの財布と小銭入れを併用してきました。メインは二つ折りの財布ですが、そこに小銭を入れると形が歪むので、小銭は小銭入れへ。二つ折りの財布はパンツ右後、小銭入れが右前と決まっていました。

しかし、それなりに年をとり、やっぱり落ち着いた大人(笑)は長財布だよな、と思って長年親しんだ構成を変えたのが7~8年前でしょうか。ただ、長財布をパンツの後ろポケットに入れるのには抵抗があります。形が歪むし、あっという間にスられそう。ということで、長財布はカバン(アタッシュケース)にしまうことにしました。その分活躍するのが、小銭入れ。ただ、お札を出す、あるいはクレジットカードを出すたびにカバンを開けるのは不便ということで、小銭入れといいつつ、お札が何枚かとクレジットカードが入るものを探すことにしました。

同じブランドでシンプルな長財布(小銭入れはなし)とお札も入る小銭入れの両方はないかということで、探して辿りついたのが、Camille Fournet。購入した小銭入れの正式名称は、コインケース付きコンパクトウォレット。これに、現金1万円とクレジットカード2枚、さらに運転免許証を入れておけば、95%の外出はこれで足りてしまいます。実際、長財布はカバンの中だけでなく、週末は家に置いていかれることもしばしば。

長財布と小銭入れ

そして今回、なくしたのは、この小銭入れ、もとい、コインケース付きコンパクトウォレット。現金少々とクレジットカードと運転免許証、これ一つあれば生きていける。逆に言えば、これをなくすとダメージ大です。特に運転免許証。

見つからない(当日)

考えてみると、なくしたのに気がついたのが特急を降りてからであって、そもそも特急に乗る前になくしていたのかもしれません。そういえば、今日は午前中に新宿で打合せがあり、そこから東京に移動したのですが、新宿駅にて15分でお昼を食べた(かきこんだ)時に小銭入れを出した(けれど結局Suicaで払った)ような記憶があります。ということで、訪問先までのタクシーの中で、お昼を食べたお店に電話をします。その場でお昼を食べた席を確認してもらったものの、ないとのこと。

お昼に小銭入れを出したという記憶が確かであれば、新宿駅から東京駅、そして常磐線のどこかでなくしたはずですが、うーん。

その後訪問先で普通に商談をこなしたものの、正直小銭入れの行方が気になってしょうがありません。商談中に見慣れぬ市外局番からの電話があり、おそらく駅からの電話かと思いますが、なんとか素知らぬ顔で一旦無視。

商談が終わったところで慌てて電話をかけると、やはり駅からの電話でした。途中駅で私が座っていた座席付近を確認したものの、見つからなかったとのこと。ただ、終着駅でもう一度確認してもらえるとのこと。

気落ちしながらも、できることもないので、東京に戻ります。東京駅は乗り換えた駅なので、落とした可能性もあるはず。ということで、駅の係員の方に落とし物として見つかっていないか確認するものの、見つかっていないとのこと。さらにその直後に相談した駅から再び電話があり、終着駅である仙台でも見つからなかったとのこと。

これはいよいよ警察だな、と思い、東京駅最寄りの交番に向かって歩き始めたのですが、そこでふと気がつきます。ひょっとして朝小銭入れをポケットに入れること自体を忘れたのではないかと。お昼に小銭入れを出した記憶は曖昧で、確証はありません。そもそも家に忘れていたのであれば一件落着です。

ということで、交番に行くのはやめて、急いで家に帰ることに。気が気でないまま家に帰り着き、家の中を探したものの…、ない。やはり家に忘れていった訳ではないようです。がっくりですが、もうできることもないので、全ては明日。

見つからない(翌日)

JR東日本では、落とし物の有無をチャットで確認するサービスを提供しています。朝一番でチャットで入力。結果はメールで返ってくるとのこと。

今日も新宿での仕事。少し早めに出ます。新宿駅構内の交番で落とし物の届出。昨日のことなので、もう見つかっているのではないかと期待しつつ、その場で調べてもらったのですが、該当するようなものはないとのこと。JR東日本で見つからず、警察でも見つからないとすると、結構最悪の事態が想像されます。そんなことはないと思うものの、ひょっとしてスられたとか。前ポケットからスられて気が付かないとはどんだけ間抜けなんだという感じですが。

ただ実は昨日から最悪の想定はしており、入れていたクレジットカードの利用明細は何回も確認しています。私が利用しているメインのカードはAMEXなのですが、今年から仕様が変わり、仮請求の段階から明細を確認できるようになったので、利用されれば比較的すぐにわかります。しかし、今のところは不審な利用明細はありません。

今日は一日新宿のオフィスに缶詰です。JR東日本からのメールを待っていますが、音沙汰なし。サービスの画面では返信が翌日になることもあると書かれていますが、気が気ではありません。

夕刻、一日の打合せを終えて、再び新宿駅へ。届出をした交番で再び確認しますが、見つかっていないとのこと。この段階でもはやかなり諦めモード。最後の希望ということで、JR東日本新宿駅の落とし物カウンター(忘れ物承り所)へ。

品川!?

落とした日(前日)、場所(新宿〜東京〜常磐線のどこか)を伝えて確認してもらいます。ただ、もはや諦めモード。ところが、意外や意外(?)、該当するモノがあるとのこと。ただ、場所は品川駅。品川駅?? 確かに昨日朝品川駅で乗り換えましたが、その時に落としたのか。そんな気配は全くありませんでしたが。

謎は深まりますが、それでも見つかったことはとても有難いこと。急いで品川駅に向かいます。そして、品川駅の落とし物カウンターで、新宿でこちらにあると聞きましたとお伝えしたところ…。

中身も無事でした。よく帰ってきた

出てきました、間違いなく私の小銭入れ(コインケース付きコンパクトウォレット)。話を聞くと、昨晩23時過ぎに品川駅で駅係員の方が発見してくれたとのこと。見つかったという嬉しさを噛み締めつつも、謎は深まります。見つかったのは、上野東京ラインとのこと。確かに朝は上野東京ラインで横浜から品川に移動し、品川駅で乗り換えましたが、なぜ夜になって見つかるのか。

謎は解けた

謎は深まるばかりですが、少し考えていたら謎が解けました。私が東京駅から常磐線の特急(ひたち13号)に乗ったのが、12:53。この特急は私の目的地には14時過ぎに到着しますが、そのまま一路仙台を目指します。仙台到着は17:25。

これはおそらくですが、この特急はそのまま仙台で折り返しをします。実際に調べてみると、18:02に仙台を出発する常磐線特急があります。18:02に仙台を出たひたち30号は、終着駅である品川に22:52に到着します。そこから車庫に入る前に車内点検があり、そうすると23時過ぎ。まさに見つかったタイミングです。

上野新宿ラインと聞くと、いつも乗っている東海道線を思い浮かべるのですが、常磐線も品川に乗り入れる際には上野新宿ラインという名称になるんですね。盲点でした。

つまり、私の小銭入れは、仙台まで往復してきたということです。まあ、結果的に仙台まで取りに行くこともなくラッキーと言えば、ラッキー。しかし、かなり心配しました。途中で見つけることはできなかったものの、それは本来の仕事ではありませんし、最終的には見つけていただいたので、JR東日本の皆さまには感謝しております。また、警察の皆さまにも余計なお手数をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。

で、何を学ぶ?

見つかってしまえば、なーんだという感じです。スられたわけでもなく、無事に出てきて、やはり日本は素晴らしいなということを実感します。

ただ、これで満足して、何年後かに同じことをするわけにはいきません。今回は完全に私の過失です。人間である以上過ちはありますが、同じことを繰り返さないことが大事。

ということで、私なりの学びですが、ポケットに極力複数のものを入れないこと。長年右前ポケットには小銭入れしか入れていなかったのですが、最近、鍵をカバンに入れる代わりに右前ポケットに突っ込んでおくことが増えていました。ポケットの中に何もない(0)、何かある(1)の判別は容易ですが、複数のものを入れていると、それが1つなのか2つなのかはパッとわからない。これが敗因(の一つ)だと思います。今後は、右前ポケットには小銭入れのみを徹底したいと思います。

noteのネタとしては美味しいのですが、いざ起こった時のストレスを考えると、再び同じような記事を書かないで済むことを願いつつ。

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