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水彩画で幾何学模様を描く〜私と水彩画

今、e-waldorf で「水彩幾何」講座実施中。

私はシュタイナー教師で、その中でも特にシュタイナー算数・数学が専門。とはいえ、シュタイナー教師ってオールマイティでなんでも屋さん。絵も描くし、音楽もやるし、手仕事もするし、工芸もする。

私は小さい頃から絵を描くのが好きだった。小学校の担任の先生は、私のことを他の先生に紹介するとき「この子があの絵の上手な子だよ」って言った。決して「算数が得意な子」じゃなくて。笑

上手だと言われたから、自分のこと、上手だと思って(勘違いして?)いろいろ描いていた。小学校4年生くらいからは大人の油絵教室に通って、大人に混じって油絵を描いていた。

9歳で「将来は先生になる」と決めた私は、小学校のころは「将来、絵の先生になる」と思ってた。

中学生になって数学に目覚めたと同時に、私には絵の才能はないと気づいた。私は、単に器用な子だったんだとわかった。なんでも容量良くこなしちゃう器用な子。だから、大人が喜ぶような絵を描いて褒められる。それは才能でもなんでもない。絵を描くための表現力とか、芸術的創造力とか、私にはとんとない。でも、それなりにきれいに絵をかける。それだけのこと。・・・そう分かった。

で、中学からは「数学の先生になる」と決めた。絵じゃ生きていけないけど、数学の先生なら生きていけるという打算もある。それから、可愛げのない私は、国語や英語や家庭科や音楽のような、女性教師も多い、可愛げのある教科じゃなくて、数学が格好いいと思った。男性と対等に生きていきたかった。

そんな感じで、それ以降、絵は「趣味として楽しむ」範囲で描いていた。

それがシュタイナー教育を学び初めて、また、絵を描きまくることになった。シュタイナー教育独特の「ぬらし絵」と「ヴェイルペインティング(層技法)」が新たな体験。

どちらも透明水彩絵の具を使う。透明水彩絵の具は、大学の頃、風景画を描くのに使っていた。あまり好きな画材じゃない。

ぬらし絵は、濡れた紙に絵の具をのせる。じわーっとにじむから「にじみ絵」とも呼ばれる。鮮やかな色がにじんで、他の色と混ざって、新しい色と形を創り出す。色にどきどきし、水がつくりだす形にワクワクする。


ヴェイルペインティングは、乾いた紙に、うすく溶いた絵の具を塗る。塗ったものが乾いてから、次の層を塗る。塗っては乾かし、塗っては乾かし、それを続けていくと、層の重なり具合で、濃淡が生まれる。濃淡のなかから形が生まれてくる。


そんな、シュタイナー教育ならでは!・・・というような手法で18年ほどさんざん描いてきた後、私は、自分の手法を見つけたくなった。型や枠から飛び出して自分の表現をしたくなった。

それで選んだのが、透明水彩でいろいろ描くこと。透明水彩は難しい。水分量や絵の具の量、筆使い、紙の質によって作品が大きく作用する。にじむときには、水が創り出すもの。人間がコントロールするという傲慢な態度を手放して、水にゆだねる。

油絵もアクリルも、こんなに難しくなかった。思うように描けた。透明水彩は思う通りに描けない。とにかく難しい。

だから、面白い。と思う。
難しいから、面白い。


シュタイナー学校の子どもたちも、小学校に入ってからたくさんのぬらし絵を描く。高学年になってからヴェイルペインティングもする。線描も描く。

あまりにもこの「ぬらし絵」と「ヴェイル」がシュタイナー美術で目立つから、シュタイナー学校というとこの2つばかりやってるかと思うかもしれない。

小学校で色の本質を感じ、光と影を見て表現することを体験し、基本技能を身につけた子どもたちは、高校生になって自由になって色々な画材を使って表現する。

型にどっぷりつかったから、その枠から飛び出していく力がある。飛び出した時に、存分に自分を活かす能力を備えている。

枠の中だけではない。既成のものだけにとどまるのではない。新しいものを創造する力がある。

それがシュタイナー教育で育った人間。


そんなわけで、今回の講座では、シュタイナー教育でやっている水彩画の典型とは違うけれど、透明水彩x幾何学を組み合わせて、私の好きなワクワクする2つを掛け合わせた。シュタイナー教育らしい、「ぬらし絵」と「ヴェイルペインティング」の要素ももちろん入れて。


枠から飛び出して、自由へ。



私の仕事


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