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昭和の純愛について考える映画

『オリヲン座からの招待状』に見る純愛

 2007年公開の映画です。原作は浅田次郎さん。日本が誇る大ベストセラー作家の一人。これまで数々の賞を受賞され、多くの作品が映画化、ドラマ化されています。

『オリヲン座からの招待状』は、短編集『鉄道員ぽっぽや』の最後に所収されている小説の映画化です。『鉄道員ぽっぽや』は、1999年に高倉健さん主演で映画化され、こちらも大変な話題となりましたね。

この短編集は、他にドラマ化された作品も数作所収されてあり、どちらかというと大人向けの名作揃いとなっています。どれもちょっとだけ不思議世界が描かれていて、しんみりと悲しみが染み渡る物語もあれば、ノスタルジーを感じる物語、あるいは不穏な気配を漂わせ不気味さを醸し出す物語もありで浅田次郎ワールドを存分に味わえる一冊となっています。

そしてこの『オリヲン座からの招待状』は、不器用な生き方しかできない二組の男女が、それでも道を探りながら歩む姿を描く、優しくて切ない映画。

舞台となるひとつは昭和30年代、世界が急成長を続ける時代の移り変わりの中、かつては隆盛を誇った映画産業は、徐々に衰退の一途をたどっていきます。

変わりゆく環境の変化に翻弄されながらも、ささやかな日々の生活と残された小さな映画館を守ろうとする、亡き館主の妻と優しい弟子。決して他人にはわからない、ふたりの絆と純愛に満ちた物語が、一つの軸となっています。

昭和の空気が満載の背景もまた魅力。

私にとって昭和レトロって懐かしいだけじゃなくて、なんていうかガサガサしたセメント壁っぽいイメージがあって、いまみたいにきれいに塗装とか整備されていたりとか磨かれていたりしない部分が多い思い出。

壁を指でこするだけですぐに擦り傷ができるし、ちょっとした怪我や汚れは日常茶飯事の子供時代(あれ?私だけ?)。

この映画はそんな昭和が美化されずに描かれている(と思う)ので、もしかすると映像に好き嫌いがありそうかな。でも、そんなことは吹き飛ばすほどもう宮沢りえさんが美しすぎるので、それだけでも観てほしい^^

近年制作される昭和設定の映画は、背景がとてもきれいに描かれていると感じます。

昭和設定の映画といえば、2018年に公開された綾瀬はるかさんと坂口健太郎さん出演の『今夜、ロマンス劇場で』も可愛くてロマンチックでしたね。

鑑賞していると、同じ時代背景と“純愛”のキーワードでこの『オリヲン座からの招待状』を思い出してしまいました。

『オリヲン座からの招待状』は、また一味違う「哀しさ」が滲む映画です。

原作とは異なる側面から描いた映画にもなっているので、どちらも併せてお楽しみいただけるのではないかと思います^^

ちなみに『今夜、ロマンス劇場で』は、加藤剛さんが素敵すぎて泣くんだこれが…(´;ω;`)



※この文章は、2021年に私のブログにて紹介した内容を加筆修正したものになります。


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