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伝説のこどもたち Kくん2 服の役割

当時は、ひと月に1度必ずおかあさんとやってきてました。ただし、おかあさんに歩調を合わせることなく、自分のペースで歩いてくるので、後からくるおかあさんは、大変だっただろうと思います。暑い日だったので、冷たい麦茶を出して、エアコンもきかせていました。 

入ってきた途端「何で、こんなに冷やしたん!」と叱られてしまいました。「体に悪いから、エアコンなんか、つけんでもいいんや、外と同じくらいにしておかんといけんじゃろ」麦茶に対しても、「こんなんいらんから。そういうものを出す余裕があるなら、俺らの仕事を見つけてくれんと」

「あのなぁ、仕事には、3つの種類があるんよ、(指を折って説明が始まりました)ひとつ、仕事ができる人、ふたつ、仕事をやらん人、そして仕事ができん人。俺らは、3つ目なんよ。仕事ができん人をどうしていくか、それを考えるのが、あんたらの仕事じゃろ」

おかあさんが到着しました。「おかあさん、麦茶どうぞ。Kくん、かあさんには、麦茶をださせてね」

たしかにKくんには、仕事は難しい。職業適性検査でもまだ、仕事ができる段階ではない、といわれてました。

趣味とか得意なこととか、聞いたのですが、何にもないのです。ただ、暗算は、早かったです。また、カレンダー記憶の持ち主でもありました。適当な日付をいえは、その日が何曜日かを当てることができるのです。なんで、わかるのか?を聞いたら、計算すればいい。と言ってました。暗算とカレンダー記憶を就労に結びつけることは、できませんでした。

いつも、ランニングシャツにチェックの半袖シャツです。冬は、トレーナーを1枚上から来ます。夏服と冬服の境目はどこだろう?ふと、疑問を持った私は、Kくんに聞きました。「ねぇ、冬服っていつから着るって、決まっているの?」

「はぁ?あんたは、服の役目を知らんの?あのなぁ、服は皮膚を守るために着るんよ。そんなのもわからんのじゃな。温度は関係ないから。」「暑かったり、寒かったりっていう変化がだめなんよ、だから、外と同じにしとかんと」

あ、そういえば、家のエアコンも、つけたら怒るっていってたなぁ。


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