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第二十六章 ゴーストライター

というわけで東京の出版社約45社は全敗。中身は福岡ローカル社長24人の「私の履歴書」だしね。中央の出版社じゃ無理よ。売れんわ。オレも社長もほぼ無名だしね。

今回の本は様々な起業家が辿った人生の軌跡をまとめたものですが、私自身が一番知りたかったのは、起業家の人が今の仕事、天職にいつどういう経緯で出逢ったか。人は一体、どうやって天職に巡り会うのかと。それは43歳にもなって天職がわからない自分にとって大命題でした。

 そこでインターネットで「天職」というキーワードで本がないか検索してみました。すると、意外に数は少なかったのですが、ある出版社から「私の天職」という本が出ていました。

それは毎日新聞社ローカル九州版の連載企画で、いろんな零細自営業人生をまとめたもの。奇遇なことに、その著者である記者の方は小倉在住、出版社も福岡でした。

 中島孝志さんの本に「原稿を売り込むなら同じテーマの本を手がけた出版社・編集者は話が通りやすい」とあり、住所見ると自転車で10分。アポも取らず、企画と原稿全部を持参しました。

※営業マン経験お勧め。人生変わります。ルートでなく新規開拓。

 その出版社は「石風社」といい、福岡では老舗の1社。アフガン難民の救済活動やっている中村哲著「医師・井戸を掘る」が有名です。飛び込みにも関わらず、担当の藤村さんが面会に応じて頂き、企画の概略を話して原稿そのものも全部渡しました。

「ざっと読んでみましょう」

 そして1ヶ月後、藤村さんから思いがけない解答をもらいました。

「出版しましょう。ただし、栢野さんの方でどのくらい捌けますか」

やっぱ買い取りか。愕然としたが、、、

「自費出版ではなく、買い取り契約でもない。初版3000部は、あなたも一緒に売るんですよ」という覚悟を迫る感じでした。

 無名で地方出版の場合は自費出版が多いと聞いてましたので、やった!と思いました。

石風社は福岡の出版社なので書店ルートでは福岡が中心。ネット以外は全国発売ではないのが少し残念でしたが、最初の売り込みで本の出版が決まるのは奇跡に近い。とりあえずの結果が出て、ホッとしました。自分の本が出る。信じられない感じでした。

※でもローカル出版だから、、飛び上がるような嬉しさじゃなかった。本出てもたぶん何も変わらない。友人知人に付き合いで買ってもらって終わりだろう。

 こうして正式な回答をもらい、本の清書作業に入りました。細部は大ざっぱな部分も多く、かつ、書いた約25人の社長に正式な了解とチェックをしてもらおうと、4月から6月まではその作業に追われました。

 原稿の書き直しが一段落したある日、インターネットでフォレスト出版のHPを見ていると、本のプレゼント企画がある。希望の本を選び、アンケートに答えたあと、「ご意見欄」があったので、私はあることを書きました。

 実はその1年前、フォレスト出版の太田社長が福岡の竹田先生のところへ訪問。竹田ランチェスター戦略の入門編を、起業目指す人・経営初心者向けに書いて欲しいという執筆依頼でした。

先生の配慮で私も同席させてもらいましたが、竹田先生は「入門本なら書きません」と即座に断りました。ビックリしました。勿体ない。東京から全国発売なのに。

後で知ったんですが、ちょっと前に出した中経出版「独立を考えたら読む本」が全然売れてなかったんですね。「なんなら、それを適当にリライトでもして下さい」太田社長も了解したようでした。
 
 私はそのことを思い出し、「ご無沙汰しています。あれから1年経ちますが、例の竹田ランチェスター入門本はどうなったんですか?早く出して下さい」と意見欄に書き、メールをしました。すると数日後、太田社長から返信がありました。

 「竹田先生の本は準備しています。既刊本を元に考えています。ご協力をお願いします。(そうだ、栢野さん、竹田先生のリメイクライターしませんか?)」

ゴーストライターかぁ、、


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