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第十九条 「大学」をつくる

「大学」を設立

 こうして勢いを取り戻してきた40才の11月、居酒屋のてっしい村・溝上社長がある独立希望者を連れてきた。三和銀行の営業マンを経てリフォーム会社の社長室長をやっているが、今度会社を設立することになった。名刺や会社案内やチラシなど、営業ツール一式を作って欲しいと。うれしい話だが、海のものとも山のものわからない会社で、回収が出きるかどうかのリスクがある。

 事務所で2時間話を聞き、その後、天麩羅やで2時間、人となり、計画を聞いて決めた。ぜひ、その仕事を受けさせて欲しいと。これが一気に700万円ほどの大型受注になり、その他ふく鮨本舗の三太郎のテレビCMや、毎月の受注額は30万円前後と小さいが、広告効果の改善で業績も人生も大逆転することになる英会話のFCC・赤峰社長のコピーライティングなど、受注額も内容も大満足できる仕事が続くことになる。

 また、この頃、香酢や青汁などの健康食品通販会社「やずや」の矢頭宣男との仲が急速に高まり、やずやを会場にし、SMIという自己啓発教材を販売するサクセスパワー福岡の上射場社長が主催する成功哲学勉強会に参加して、初めて人生の夢とか目標設定をした。この中で「本を出す」夢も書いた。が、本を出すなんて夢のまた夢、叶うはずがないと思っていた。

 矢頭さんとは、矢頭さんが講師になって行った21世紀生き残りセミナーの集客や運営を手伝ったり、東京のあるコンサルタントのセミナーに共に参加した。また、正月には矢頭家の家に呼ばれ、当時、調子に乗っていて妻への感謝を完全に忘れていた私は、矢頭さんから相当な強さで頭を殴られた。まさに愛の鞭。後頭部だったのでクラクラした。少し、やばかったが、この半年後に矢頭さんは他界。今では宝のような一生の想い出だ。

 年が変わった2月、「大学を創る」という考えが閃き、一気呵成にチラシを作成。数百人に賛同を求めるFAXを送り、100人からの賛同者を集め、4月から「九州ベンチャー大学」特別版と称し、それまでやっていた異業種交流会「不況撃破懇談会」とは別に、独立起業のビジネススクールをスタートした。

 これは当初、和洋菓子チェーンの石村萬盛堂と宅配鮨チェーン「ふく鮨本舗の三太郎」のFC加盟店募集を狙ったイベントの広告文章を作成している最中、「九州ベンチャー大学」という名称を思いついたのだが、この名前にピンときた。

 これはイイ名前だ。単なるFC募集のイベントではなく、公的な感じで、単発ではなくシリーズで独立起業を考える人に役立つビジネスセミナーにするのだ。

 今までの異業種交流会を拡大し、独立起業と中小企業に絞ったビジネススクールにするのだ。通常のビジネススクールは講師も内容も大企業中心。この九州ベンチャー大学はゼロから始める起業と零細中小ベンチャー企業に絞るのだ。

 学部学科は、独立起業学部、営業学部、新規開拓学科、ルートセールス学科、商品戦略学部、地域戦略学部、客層戦略学科、顧客創造学科、財務学科、成功哲学学科、人間心理学科、挫折克服学科・・・などとし、講師は各分野で活躍する現役起業家、コンサルタントが担当。これは、中小企業コンサルタント・ランチェスター経営(株)の竹田陽一先生が、以前から提唱している大学改革案。社会に出てもほとんど使えない経済学とか会計学ではなく、営業とか地域戦略とか、実務に使える学部や学科がなぜないのかと。

 このあたりの考えをワープロで一気に書き上げ、それを数百人へfaxして100人の賛同サインをもらい、「起業家100人によるビジネススクールを開設!」としてマスコミへfax。これが朝日新聞や西日本新聞、起業雑誌アントレなどに大きく取り上げられ、第一回目の前半は、石村萬盛堂の石村社長、ふく鮨本舗の三太郎の蔀社長、ランチェスター経営の竹田社長をパネラーとして私が司会のパネルディスカッション。後半は竹田社長のワンマンセミナーと交流会。初回から100人を越える参加者が集まった。朝日新聞は社会面と経済面、西日本新聞は夕刊だったが、一面トップにデカデカと記事が載った。

 (俺はマスコミに載ると調子が良くなる。一般の人が、新聞やテレビや雑誌に記事として紹介されるということは、一生に一回あるかどうか。それが俺の場合、10数回は超える。そのほとんどは異業種交流会がらみ。公的な内容。マスコミに報道されること、マズローの欲求5段階説の認知と自己実現が満たされる。通常は周囲の人たちや所属する組織などから認められる、支持される程度だが、マスコミ報道は告知の数のケタが違う。新聞地方版で約40万部から90万部、テレビは300万世帯、雑誌も数万から10万部。有り難いことだ。勘違いしないよう、自己制御が大事)

 第二回目からは会場をHIS九州中国本部のビル内セミナールームに移し、前半は地場コイン駐車場「テクニカル電子」本房社長などの起業家による独立物語、後半はランチェスター経営・竹田社長による弱者必勝の経営戦略講座で計3時間。この特別版のベンチャー大学とは別に、通常の異業種交流会も毎月開催。この毎月約50?100人集まるセミナー交流会を、同時並行で1年以上継続した。他のゲスト講師はカギの110番・上野社長、音丸行政書士、FCC英会話の赤峰社長、スコッツの下田社長、市民バンクの片岡社長、パナ通信社の亀川社長他を迎えた。

 (この特別版は1年しか続かなかったが、この講義内容はほぼそのまま、のちの「小さな会社☆儲けのルール」「逆転バカ社長」の重要な原稿になった。人生に無駄はない)

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