「ミッドナイト・ランナー」感想

今日始まったTVドラマ「未満警察 ~ミッドナイトランナー~」がなんともいまいちな出来だった。

キャラクターの人間味が薄く、話の展開もただ並べただけの有名タレントの起用が目的なのかと思う作品だった。

 警察ドラマということで大の警察物好きの僕としては期待をしていた分、不完全燃焼感が否めなかった。

そこで、せめて原作だけでも確認しようということで視聴したのが本作「ミッドナイト・ランナー」(邦題「青年警察」)である。

本作は2017年に公開された韓国映画で、監督・脚本はキム・ジュファン、主演はパク・ソジュンとカン・ハヌルだ。

まず、本作のあらすじは次の通りである。

感情先行型の行動派ギジュンと理論重視の頭脳派ヒヨルは警察大学で勉強し始めて二年になるうら若き警察官の卵である。二人はある夜、外出先で拉致事件を目撃する。早急の解決を求め通報した二人だったが、警察は別の事件にかかりきりで捜査はなかなか進まない。そこで、ギジュンとヒヨルは学校で学んだ知識を生かして独自に捜査を開始する―――

本作の面白い点は、警察をモチーフにしていながら、警察なのかどうかすら怪しい、まだ警察官にもなっていない学生が主人公であるところだ。

まだ学生なので警察官の身分を使った捜査はできず、「相棒」シリーズに出てくるような科学捜査ももちろん出てこない。さらには、警察官ではないから警棒や手錠といった基本装備すらも持っていないのだ!!

そんな彼らが、自分の正義に従って事件を解決しようとする中でぶつかる困難を、機転の利いた発想で乗り越えていく様子は、とてもコミカルで面白かった。

また、本作は対比が多くみられる作品でもあった。

警察と民間人のはざまにいる警察官学校生、優先的に捜査される富裕層と後回しの貧困層、体制化され迅速な動きの出来ない警察と目の前で事件を目撃する警察官、学問的に研究された理想と実際の現場で起こる現実、感情先行型の行動派ギジュンと理論重視の頭脳派ヒヨル。

このようにたくさんの対比が軽重に差はあるものの描かれている。そしてそれぞれに葛藤がありドラマが生み出されていて、ストーリーに深みが出ているのだ。

本作は、いわゆる警察物を期待していた僕にとって意外な設定だったが、キャラクターの面白さや話の展開、伏線の回収、ドラマがうまくちりばめられており非常に楽しめた。

もちろん、不自然に思える部分もあるのだが(かなりの規模の犯罪なのに武器がお粗末すぎる等)青春警察物語としてはなかなかのものなのではないだろうか。

昔ながらの警察物とは一風違った作品なので、一度食指を伸ばしてはいかがだろうか。

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