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No.25 闇に落ちる一本の電話

30万円の借金をしてまで始めたビジネスを
辞めようかと半ば諦めていた頃、

高校時代に付き合っていた
(妊娠中絶事件の)彼から
いきなりLINE電話が入った。

別れてからは、メッセージのやり取りや
電話をする事もなく全くの疎遠状態だったのに
今になって突然にだ。

実際のところ、
キッパリ彼を忘れていたかというと
そうではなかった。

彼との思い出を懐かしんでは
会いたくなるくらいの未練は残っていた。

だからだろう、久しぶり〜!なんて言って
何事もなかったかのように電話に出たのは。

3分ほど世間話をした後に
彼はさっと話を切り出してきた。

「今日ってこの後時間ある?」

運良くその日はバイトも遊ぶ約束もなく
ただ家に帰るだけだったので

「うん、あるよ」

と答えた。

どうして?と私が言う前に彼は、

「よかった!ご飯行こうよ!!
てか今俺ホストやってて、その後同伴しよ!」

と言って来た。

訳がわからなかった。

こいつは何を言っているんだろう。

久しぶりに連絡をして来て、それに突然に、
ホストに連れて行こうとするなんて
やっぱり頭がおかしいやつに変わりはない。

そう思ったが、ホストに行くという事に関しては
結構な興味があったので、

「いいよ。ただし今日だけね」と偉そうに
返事した。

彼は、久しぶりに会える!なんて喜んでいたが、
これが大きな失敗だった。


彼とはミナミ(大阪の難波)で会う約束だった。

私は約束までの時間で
お化粧を整え、お洋服も着替え
バッグも少し良いものを持って
約束場所に向かった。

着いたよ。とLINEをいれて少しすると
スーツ姿の彼が来た。

制服姿しか見たことがなかったので、
ほんの一瞬だけトキメキを感じた。

「スーツも似合うね」と言いながら、
【金龍】というリーズナブルなお値段の
ラーメン屋に2人で向かった。

高校時代から変わらず、食べている時は
あまり喋らない彼に懐かしさを感じていた。

5分〜10分で食べ終わり、お店に向かう。

初めていく場所に緊張を隠せなかったが
平常心を保ちながら彼に着いて行った。

階段を下りて地下に行くと、
ガラス張りのドアがあり、中に入ると
見た事もない光景が広がっていた。

この瞬間、私の人生は大きく方向を変え
歯車も狂いだしていた。

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