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業務委託と代理権

事業に必要な事務を全て自分の事業所内で出来れば良いのですが、なかなかそうもいかない場合があります。
そういう時は「外注」をしているのではないかと思います。
中には顧客との契約に関わることを外注することもあるでしょう。
今回は、「営業と販売」を外注することを例にして、「業務委託と代理権」の基本について説明します。

A社がB社に営業と販売を委託し、顧客をCとします。
B社はA社から営業と販売を委託されていますので、A社の代理人となっています。
CがA社の商品を「買いたい」と思いました。
Cは、B社に「賞品を買いたい」と申し込みます。
そして、CとA社の代理人であるB社は契約を結びます。

この場合、契約の当事者(売主と買主)は、A社とCです。
つまり、A社には商品やサービスを提供する義務と代金を受け取る権利が生じます。
その反対に、Cには代金を払う義務と商品やサービスを受け取る義務が発生ます。
Cと契約を交わしたのはB社ですが、あくまでもA社の代わりに行っているだけなのでCに対する権利や義務が発生するわけではありません。

寧ろB社には、A社に対する代理人としての権利や義務が生じます。
通常、事業者であるA社とB社との間では業務の委託に関する契約書が締結されているはずです。
そこには、この業務の委託について様々な約束事が書かれています。
B社はA社に対して、その約束事を守りながら委託された業務を行う義務が生じ、その代わり報酬を受け取る権利が生じます。

お お金①

では、もしB社がミスをしたことで顧客Cに損害を与えてしまった場合は、誰がどう責任を取ることになるでしょうか?

結論としては、顧客Cに対する責任はA社が負います。
上で説明した通り、B社はA社の代理として契約を締結しますが、契約の当事者はあくまでもA社と顧客Cです。
ですので、顧客Cに対する責任はA社が負い、損害賠償を請求されたらそれに応じなければなりません。

い 怒り①

では、B社は何の責任も負わないのでしょうか。
当然ですが、そうなりません。
B社はA社に対して責任を負います。
どのように負うかについては、A社とB社の業務委託契約の内容によりますが、一般的にはA社が顧客Cに対して負った損害賠償に相当するものになるでしょう。

話が少しそれますが、業務の委託先が個人で、その個人がほぼ委託者の管理下で仕事をしているのが実態である場合、それは業務委託ではなく「雇用している」と判断されてしまう場合があります。
社会保険などの会社負担を避ける為に、社員のように働いている者を「外注」扱いにすることはできません。
ご注意下さい。

かやはら行政書士事務所では、業務委託契約書を含む各種ビジネス契約書の作成代行を承っております。

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