真っ白な世界

陽が落ち始めたころに

振り始めた雪が降り積もり

街の全てを覆い隠してしまう

真っ白な世界

赤い車も青い屋根も

普段は色とりどりの街が

たった一夜で一色に染められる

黒い感情も

蒼いもやもやも

赤い情熱も

全て白に塗り替えられたら

ゼロからやり直せるのだろうか

覆いかぶさった雪が

陽に溶けてなくなれば

再び現れる鮮やかな色彩のように

感情も露わになってしまうの

雪解け水の様に

どこかへ流れ出してしまえばいいのに

雪の下で耐え忍んでいる新芽の様に

希望に満ちた気持ちに溢れていればいいのに

今は何も考えず

この雪景色に感情を委ねよう

静かな雪の夜に

部屋の電気を消して

目の前の真っ白な世界を