海外移住 | 日本にいたほうが絶対楽だったのに
夫が、楽しそうじゃない。
最近、夫の雰囲気があまり好ましくないことは薄々気づいていました。
なんだか、つかれている?
そもそも、口数少なめだけど、より減ってない?
それと同時に、様々な障害にぶち当たっているうちに、私もなんとなく考えていました。
あれ、そもそもなんで海外移住したんだっけ…
日本に住んでいたとき、あるタイミングで、私の人生に欠けているのは食洗器くらいだわ、と思ったことがあることも思い出しました。
それくらい満たされていたのに、ある日ふと思い立ってしまった、海外移住。そして、なんの御縁か、ものすごいトントン拍子で進んでしまった。
そんな海外移住で失ったもの。それは
夫との時間
収入の安定(夫婦して日本の終身雇用蹴る)
数年後の行き先不透明(滞在許可問題)
通勤の楽さ(車→バス通勤)
貯金
安くて美味しい外食
衣料乾燥機…
結構クリティカル。
夫に聞いてみた
恐る恐る、夫に「こっちの生活どうよ?楽しんでる?」と聞いてみると
「楽しんでるとは言えない」
という衝撃的(かつちょっと予想していた)一言が、返ってきました。
理由としては、とにかく時間がない、とのこと。仕事をもっとしなきゃいけないのに、子どもの送迎や諸々で、全然足りてない、と。
そして、これは、はっきりと言いませんでしたが、私が彼を縛り付けていたのも薄々気付いていました。
それは、オーストリアでの永住権取得に向けて必要なこと(主にドイツ語能力試験)について、ちょくちょくプレッシャーかけていたこと。
オーストリアで滞在許可を得るには多くの場合、ドイツ語能力試験が必要になります。今は、雇用先や学歴などの状況で免除となり、夫も私も少なくとも数年仕事ができますが、いずれかのタイミングで私も夫も必要になるので、長期でいるとなると、結構頑張らなくてはいけない。
それをいちいちプレッシャーかけていた私。ただでさえいっぱいいっぱいの夫に。
なにをやっているんだ、私は。
もうやめよう、と思いました。
オーストリアありきで移住したんじゃないのに、なんでオーストリアに固執してるんだ。
そもそも夫と、私、そしてこどもたちの最大公約数の幸せってどこだろう。
そのとき、気がついたのが今まで夫と私がどう人生を設計してきたかでした。
数年後を見越して行動したことあった?いままでずっと、眼の前にある興味があることに飛びついて真摯に追求してたよね?それで、周りの信頼を得て、御縁に繋がり、次の道がどんどん拓けてきてたし、拓けた道に進んで後悔したことはなかった。
わたしたちの特技って居住地に縛られないことだった。そして、こどもたちもそうであってほしい。それが子育ての方針だった。
もちろん、独身、既婚、子持ちと家族の形が変化すれば、できることも価値観も、優先順位も変化するし、年齢を重ねれば、キャリア形成だって同じようにはいかなくなるかもしれない。でもその時はその時で対処する。
それでよかったのに、わざわざなんでオーストリアにしがみつこうとしてたんだろう。
結果、なにか御縁があって残れるならそれに越したことはないけれど、オーストリアありきで、今行動しなくていいのではないか。
この思いを夫に伝えると、ワクワクしたときに見せる、微妙に変化する夫の穏やかな表情が見え、「やっと気付いてくれたか」と言わんばかりに、大きく頷いてくれたのです。
海外移住で得たもの
上記に海外移住で失ったものを並べましたが、得たものもあります。
それは、希望。
日本を離れた理由の一つとして、行き詰まり感が大きかったことを思い出しました。
仕事も淡々とやれば続けられたはず、でもそれが苦しかった。
こどもたちの教育も普通に問題なくできたはず、でもそれが想像つかなかった。
不安はなかったけど、希望も見えなかった。
今は不安だらけだけど、将来の広がりも同時に感じている。皮肉にも。
それは、ただ私たちが世間知らずなことによるポジティブさなのかもしれません。でも考えずにはいられないのです。
日本と海外の両方の高等教育で働いてきた経験が、次はどこで、どういう価値を築くだろう。
こどもたちのここでの友人関係や、経験、養われた順応性や言語能力、新しい価値観はどう彼らの人生を豊かにしていくのだろう。
もしかしたら最短数年で、ここの滞在は終わってしまうかもしれない、だったら家族で最大限に楽しめるようにするにはどうすればいいのか、自分の価値を高めるには、どんな経験や知識を今身につけておくべきなのか、考えることは山積みです。
本当に海外移住がいい選択肢なのか、と、渡欧前にモヤモヤすることもありました。その時、背中を押してくれたのも夫でした。
もうやっちゃったので、後悔したとしても後者です。だったら、それでいいのかも。
そして、この海外移住が良かったかどうかなんて死ぬまで分からない、といったのも夫。
短期目線で、成功だった、失敗だったと決めつけず、日々一喜一憂しながらも、ワクワクをどこかに常に持っていたい。
そして家族がいなければ、ここまで頑張れなかった。夫とこどもたちに感謝と敬意の気持ちを伝えることを忘れないようにしたいと思います。
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