見出し画像

映画「皮膚を売った男」を見て

映画「皮膚を売った男」を見てきたので、その感想です。

あらすじ

シリア難民のサムは、偶然出会った芸術家からある提案を受ける。それは、大金と自由を手に入れる代わりに、背中にタトゥーを施し彼自身が“アート作品”になることだった。
美術館に展示され世界を自由に行き来できるようになったサムは、国境を越え離れ離れになっていた恋人に会いにいく―しかし、思いもよらない事態が次々と巻き起こり、次第に精神的に追い詰められてゆく。世界中から注目されるアート作品“サム”を待ち受ける運命とは…。
(公式サイトより引用)

感想

単純に面白かったです。
ただちょっと要素が詰まりすぎてる感じ。この要素だとあともう1本ぐらい映画を作れたんじゃないかと思うぐらいに要素が多い。

1. 物になりきれない人間の葛藤
主人公の男性、サムはベルギー人のアーティストにシェンゲンVISA(短期間滞在のVISA)のタトゥーを背中に彫られるので、人間がアート作品となるのは人を物扱いにすることだから自由を奪われて嫌になるんだろうなとか想像していましたが、やはり作品は中盤まではそのような内容でした。

2. 買われるシリア難民、買う白人
いくらアート作品とはいえ、買う側と買われる側という立場があります。そして、買われる側は弱者になるのであろうシリア難民。
白人史上というわけではないのでしょうが、それが読み取れて「まぁそこは変わらないんだろうな」と思っていました。そして、アジア人はさらに下に見られてるんだろうと穿った見方をしてみたり。

3. 命の危険と隣合わせのシリアの実情
中東で誘拐されて殺されるニュースは残念ながらたまに見ますが、そのシーンも入ってきたり、母親が脚を切断(過激派が直接な原因ではないものの、爆発かなにかでたんすの下敷きになって切断)することになったりと、シリアは今でも命の危険がある国なのか…と知らされました。
関係ないですが、10年ほど前に友人たちと行ったシリア料理屋さんのおじいさんはどうなったのかな?とふと思い出しました。

4. 一応ハッピーエンドでなにより
そして、ストーリーの最後は主人公が死ぬとかじゃないと終わらせられないなぁと思っていたのですが、ハッピーエンドだったのでよかったです。
ただ、そのハッピーエンドになるまでも二転三転あってハラハラ…。

その他の見どころ

1. モニカ・ベルッチ
ソラヤという金髪の女性(ベルギー人アーティストのマネージャー的存在)をみたことあるなと思ったら、モニカ・ベルッチでした。
年齢を調べたら、もう57歳!「マレーナ」のときは本当に綺麗でした。

2. 保険屋さんは現代アーティストだった
保険屋さんの話が入ってくるのですが、大写しになるので、誰なんだろう?と思ったら、ヴィム・デルボア(Wim Delvoye)という現代アーティストでした。
現代アーティストの作品がこの映画を作るきっかけになったと知っていたので、どこにいるのかな?と思ってたらまさかの保険屋さん。
彼の作品(豚にタトゥーを施したもの)もところどころ出てくるので目が離せません。

3. マグリットの「不許複製」っぽい作品も?
ヴィム・デルボアの作品以外にも、額縁の前に来たら自分の背中が見えるという作品も何度か出てきます。調べたらマグリットの「不許複製」に似ていました。
やっぱり美術館の中のシーンは目が離せません。

4. 映像作品としても楽しめる
映画としてももちろんですが、映像作品としても楽しいです。
冒頭の鏡を巧みに使ったシーン、「結婚したいんだ!」と主人公と恋人が電車の中でダンスするシーン、シャンデリアやガラス越しに人物が映るシーンなど、とても飽きない映像でした。

まとめ
相当要素が詰まってて1度見ただけでは理解が追いついていない部分があります。
なので再度見ていろいろ答え合わせしたくなると感じる作品でした。
もし興味が湧いたら、ぜひご覧になってください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?