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昔、母がお盆に体験した話

私が小学生までの頃は、お盆になるとよく祖父母の家に家族でよく泊まりに行っていた。

そんなあるお盆の時期に家族4人で祖父母の家に泊まった時、母が体験した話。

祖父母の家は古く、昭和中期〜後期にかけて建て増しを続けた為にやたらと部屋や階段が多い家だった。

母屋を中心に四方に建て増しした部屋が繋がっている為、敷地に対し何故か建物の中心に玄関がある奇妙な造りになっていた。

私たちが主に泊まっていたのは増築した部屋で、母屋のトイレに行く為にはキッチン(と言うより台所と呼んだ方がいい造り)を抜けないと通れない。

母が夜中にトイレに起きた。眠い目を擦りながら、トイレに向かう。母は普段眼鏡をかけているが、勝手知ったる実家なので眼鏡はかけずに行った。

トイレへ向かう為、台所を抜けようとそちらへ行くと、誰かが台所にある勝手口の方を向いて立っていた。

母からは、ぼんやりと誰かの背中しか見えない。どうも男性の様だ。中肉中背、短く刈り込んだ髪、どうやら父だと思ったらしい。服装は工場の作業員が着るようなグレーの作業着。

母はカズマ(父のことは名前で普段から呼んでいる)そんな所に立って何してるの?まだ夜中だよ。寝てなよ!

父と思しき人は母の呼びかけに全く答えない。猫背気味に俯きながらゆらゆらと前後左右にゆっくりと揺れている。

暫く母は待ってみたが、あたしは眠いから部屋に戻るよ!と声をかけて部屋へ戻る事にした。

明けて翌日。母は父に、カズマ!昨日の夜台所に突っ立って何してたの?少し怒りながら聞いてみた。

父は、はぁ?何言ってんの?夜中に台所なんて行ってないよ。俺、一回寝たら夜中は起きないだろ。それに部屋の奥側でねてたから、もし俺が起きたら気付くだろ?と言われてしまった。(ちなみに父は営業マンなので作業着は持っていません)

なんだか納得のいかない母。そのやり取りを側で聞いていた私とマドカ(妹)。夜中にあった出来事を母から聞くと、ヤダ!怖い!それって幽霊じゃないの!とマドカ。(当時小学生低学年だったかな)

う〜ん、そうなのかなぁ?と母。昔から不思議な体験をしているだけに怖さは感じていないらしい。

幽霊怖い!マドカ、台所を通ってトイレ一人で行けない!カヲルちゃん(小さな頃から妹は私のことを名前で呼ぶ)一緒にトイレ行って!

一回だけならトイレに付き合っても良いけど‥正直何度も付き合うのは面倒だと思った私。

ふと閃いた。幽霊より強そうなもの‥そうだ、鬼!私はマドカに言った。

これから幽霊が出ないようにお札をつくるよ。
そう言って紙に鬼の絵を(出来るだけ怖そうに強そうに)描いて勝手口に貼り付けた。(私も小学生高学年ぐらいだったのでその程度の発想です)

この鬼の絵が幽霊をやっつけてくれるからもう大丈夫。私はマドカに言い聞かせた。

やった〜!これでもう幽霊でないね!カヲルちゃんすご〜い!マドカ絶賛。安心したようだ。

鬼のお札?の効果があったのか、その晩は幽霊らしき者は現れませんでした。これにて、一件落着。

ちなみに母が見た幽霊の話に対して祖父母の感想‥お盆だし、どこかの慌てたご先祖さんがウチに間違って帰ってきたんだろ。でした。


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