ミズ・マーベル(2022)

最強の愛されスーパーヒーローの誕生！

オリジンならではの「ヒーローのアイデンティティをめぐる物語」に「ルーツ(出自)の物語」がリンクするという、重層的なテーマを描く。
パレスチナ問題に関してはどうしても説明的なシーンが多くなってしまうが、きちんと歴史を紐解きつつ、エンタメ色の高さはしっかり保持できている。

ヒーローの存在が日常に馴染んでいるティーンの感覚が面白い。
思えばアベンジャーズ計画が始動したのも15年前とかになりそうなわけで、物心ついたときにはヒーローが活躍していた世代。
カマラが能力に目覚めたときもまぁすんなり受け入れたし、学生もワイワイとTikTokで騒ぐだけなのがとても良い。

また、ブルーノやナキア、カマラの兄アーミル、ゾーイなど、サブキャラクターがどれも個性的で愛らしいのも高ポイント。主役以外のキャラが魅力的なのは、フェーズ4以降のマーベルの良いところだと思う。

一方で、今回カマラのいる場所によって監督が変わる構成をとっていて、歴史に対して正しさを心がけるマーベルの姿勢も印象的。

俗世とは距離を置いてひっそり生きるヒーローが多い中で、家族や友達、街の住人の愛によって支えられ誕生したミズ・マーベル。

とりわけシビル・ウォー以降、ヒーローと一般人の間に緊張感が続いているが、カマラはきっとその両者を繋ぐ架け橋になっていってくれるだろう。