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一遍上人の残した宝

久しぶりに行きつけの温泉にいこっと♪
そんなことを思いながら車を走らせていた。なんのけなしにいでゆ坂を車で登っていると、あっ。なるほどいでゆ坂というだけあって、地元温泉が気がついただけでも3つある。

しかも、湯あみ祭りと書いてあるではないか。

旗があって、祭りと書いてあるなら行ってみなくては。

それが日本人の心意気というものだ。

しかも3つ入れば、今週の目標も達成ではないか。

早速近くの駐車場に車をとめて、洗面器の入ったカゴを下げて、坂の上「上人湯」へ向かう。

と・・

あれれ。残念。
コロナの関係でしばらくお休みと書いてあるではないか。

えー。なら旗は出さないでよ。

なんて残念な気持ちになりながら、心機一転。

1番下から攻めることにした。

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見えてきた。「地獄原温泉」。

弱酸性の塩化物泉だ。酸性には久しぶりに入るような気がする。

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入湯料100円のお賽銭をチャリーンと入れ、お参り。

スタンプを探すが、見当たらない。

入口に貼り紙があり、スタンプは近くのスーパーに置いてあると書いている。あとでもらいにいくとしよう。

中に入ると、先客の先輩がお2人。

「こんにちは」あいさつをすると、気持ちの良いあいさつが帰ってきた。

洗面器もってるからかな?なんて思いながら、服を脱ぎ体を洗い始めた。

お2人は、もうあがるところだが体を拭きながら、真剣に話している。

どうも息子より姪が可愛いという話を真剣にしているようだ。1人の方が、息子は嫁一筋。それに引き換え姪は可愛いを力説しており、もう1人が、あんたは姪が好きやなあ。とふんふんと聞いてあげていた。

私にも姪がいて、その可愛いさは十二分にわかる。

そして、同様に私にも伯母がいる。

湯船に浸かりながら伯母のことを思い出した。
伯母は北海道にいた。もう亡くなって10年近くなると思う。母の実家である新潟に帰った時に、伯母が帰省しているというタイミングは数えるほどしかなかったが、会うたびに伯母は私に優しくしてくれた。
私は、明るくて豪快な伯母が大好きだった。
社会人になったら必ず北海道を訪ねると約束していたのに、1度も果たせなかった。

会いたいな。

姪への愛を力説する先輩に叔母を重ねて懐かしくなった。

2人はひとしきり話すと「じゃ、ごゆっくりねー。」と私に優しく声をかけてくれた。

色んな気持ちが重なって、素直に嬉しかった。

ここの温泉は鉄分の香りがするように感じる。湯船の周りやタイルは赤くなっている。

好きなアルカリ性のお湯ではないけど、しばらく入っていたくなる。会社に理系の後輩がいて、最近温泉巡りをしてアルカリ性の温泉が気持ちよく感じるのは、何でか?と詰め寄ると、「それは人間が弱酸性だからですよ。」と言っていた。
「ちなみに、ぼっ僕の専門は微生物ですからね!今度調べときます!」なんて良い後輩なんだ。

同じ弱酸性同士でも気持ち良いのかー。

さあ、次にいかねば!スタンプをもらいに行こう。
涼しくなってきたこともあって、気持ちよくてつい長湯をしてしまった。

温泉から出て、近くのスーパーに向かう。今日は良い天気だ。入口におじちゃんが座っていた。

「スパポートのスタンプをください。」そう言うとおじちゃんはどうぞとスタンプを指刺した。「この時間は少なかったでしょ?」なんともいえない癒される笑顔と優しい声。思わず買い物したくなる素敵なおじちゃんだった。

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スタンプをもらい、次に向かったのは先日蒸し湯に行った際に、洗面器を持ってなかったので後回しにしたすぐ近くにある「渋の湯」。

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ここも入口にお地蔵様がいるが、お賽銭方式ではない。会員以外の人は、コインロッカーを100円で利用する決まりになっていて、それが入湯料のかわりとのことであった。なるほどよくできている。

入口にはスタンプも貼り紙も見当たらなかったので、とりあえず中に入ると、女湯の入口入ってすぐにスタンプが置かれていた。おそらく男湯にもあるのだろう。

温泉は意外と広か感じた。そして、芝居の湯に行った時と同じように、

ここの温泉の空気綺麗だ。

そう思った。

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浴槽の先には、湯雨竹。
源泉を冷ますための装置だ。

温泉には先客の先輩が1人。あいさつをすると、またまた気持ちよく返してくれた。

本日2回目の体洗いをしていると、涼しくなってきたね。と話しかけてくれて、「この蛇口は、水しかでないから、浴槽からどんどんお湯をくんでかけて良いからね。」と優しく教えてくれた。

今日は、出会う人出会う人優しくて嬉しい。

温泉に入ると、先程の地獄原温泉よりもまろやかに感じる。鉄分のような匂いはせず、床や浴槽もオレンジになっていない。

そして、なんだろう。今日は温泉が倍気持ちが良い。きっとみんなが優しいからだ。心がほっこりとして穏やかだ。

ふと、壁に目をやると壁に漫画が書かれている。

んんん!?

なるほど。このあたりの皆さんが優しい理由がわかった。

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一遍上人様の教えなのか・・。納得!

一遍上人様は、ここ鉄輪(かんなわ)に湯治場を開いたと言われて、鉄輪の地元の皆さんから今も愛されている。

実は私がつられた祭りの旗も、一遍上人様の弔日に合わせて鉄輪の人達が、一遍上人様の木像にお湯をかけるという「湯あみ祭り」のものだという。

一遍上人様ありがたや。

この令和の時代にもあなたのおかげで、気持ちよく温泉に入れています。

上がろうと思って体を拭いていた私は更にとんでもないものを目にする。

温泉成分表

メタケイさん。611.7

ろっ。ろっぴゃくうううううううぅー?!?!

気持ち良いはずだよなあ。

鉄輪温泉は、保湿成分メタケイ酸含有量。日本で1番!!だそうで、気持ちが良いはずだと納得。

温泉師匠にもこう書いてある「塩化物泉やメタケイ酸の多い湯は保湿効果も期待でき、天然の化粧水と呼ぶ人もあります。」

一遍上人さま。参りました。

「利用させてもらいます。」の気持ち。忘れないようにしなくては。





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