見出し画像

別府を楽しむ ①

県外から親戚や友達が来るとなった時に、どこの温泉を案内しようかと考える。

「こんなのもあるんだよ。」と紹介したい温泉が3種類ある。

それは、砂湯・泥湯・蒸湯だ。

観光客が多いので、しばらく行っていなかったが88箇所巡りの中で、久しぶりに砂湯と蒸湯を訪れた。

砂湯は竹瓦温泉。

別府駅から徒歩でも行ける距離にあるこの温泉は、建物がレトロで前に立つだけで、わくわくとした気持ちになる。

14年振りだろうか。ここを訪れるのは。

その時は、東北から来た母方の親戚を案内してきた。

別府の砂湯は、このレトロな建物の竹瓦温泉と上人が浜の海を見ながら入れる砂湯の2箇所ある。

その時以来ここにこなかったのには理由がある。

人を案内するのには、海沿いの砂湯の方が楽しんでもらえるからだ。

それは風景が良いから?

いえいえ。そうではなく。

砂かけさんに大きな差があった。海沿いの砂湯は、浴衣を着て砂地に寝そべり砂をかけてもらう。

カメラ持ってきて良いよー。とってあげるねー。
熱くなーい?

気を使いながら砂をかけてくれ、態度が非常に優しかった。砂湯に寝そべり、砂のあたたかさにほっと一息。
そして、聴こえてくる波のBGM。癒しだー!!

と一方。その当時の竹瓦・・

砂かけさんが、厳しすぎた。男女で分かれた砂湯で寝そべり、浴衣なし。タオル1枚を体の上にぺらーんと置く。

砂地に案内される時から、なんだか乱暴な感じで、寝そべると、「ぴしっ!として!」と砂かけさんから激が飛ぶ。写真なんてとんでもない雰囲気で、バッサバッサと砂がかけられていった。

湯上りに、仙台の叔父が発した一言。

「砂かけばばあに、怒られた」

それ以来、私はひたすら海の砂湯への案内を続けていた。楽しい思い出のために。

今日は、そんな思い出の竹瓦へやってきた。入口を入ると、なんとも愛想の良い、やさしそうなおじさまが受付にいるではないか。

「タオル持ってる?」

ええ。ええ。持ってますよ。ぺらーんタオル。
と、内心思っていたのだが、なんと浴衣が差し出された。

あれ?着るようになったんだ。

どんな砂かけさんかとわくわくしながら、中に入る。

砂場が見えない。あれ?なんか雰囲気が違う。

浴衣を着て砂場の扉をあけると、なんと男女一緒になっていた。

これなら、夫婦とかカップルでも一緒に楽しめるんだ。なるほどー。砂場と脱衣場が仕切られたのはこのためか。

そして、驚いたのが砂かけさんが若い!
元気ハツラツとした若い女性が、熱くないですかー?
と優しい声をかけてくれながら上手にかけてくれた。

14年前とは全く変わっていた。

砂湯から上がり、あがり湯に入る。ボディソープとリンスインシャンプーが置かれていたのだが、おやおやおや?バラとオレンジハーブ??

お洒落になってるー!!!

へえぇー。ともうビフォーアフターあら不思議なこの変わり様に驚くこと多数。

これならまた県外から来た時に案内できるな。
そう思いながら、とても良い気分で砂湯をあとにした。

別府の古い絵葉書の写真には、遠浅の海に簡易テントのようなものの下で砂湯浴を楽しむ人たちの姿が見られる。

地元の人にとって、砂湯が日常の時期があったのだろう。14年前の竹瓦は、そんな名残というか、観光地化していない「地域の砂湯温泉」ということだったのかもしれない。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?