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現代の住宅プランから見えてくる所有から共有の時代へ

ものを所有する時代から共有していく時代に入ったと言われています。個人のレベルではまだそこまで、時間できるところまできていないですが敏感な人であれば既に感じている人たちも多いのではないでしょうか。


価値観の変化

筆者のような40代半ばの中高年が過ごしてきた高度経済成長期の日本の価値基準は高級車や高級住宅など高級志向の上、個人で所有することがステイタスだった時代でした。しかしながら、現代社会においては社会システムの変化やツール等の技術の進化により所有することより共有や共感の時代に入ってきたように思います。カーシェアリングや住宅の定額制サブスクリプションサービスの普及など場所を変えて生活することも可能となっています。互いの境界はボーダーレスになり、所有から共有する社会へと変化しています。

住宅設計における共有部重視型プラン

筆者は年間40棟以上の住宅設計を行なっていますが、共用部の充実化が現代の住宅設計においてポイントとなっているように思います。これには空間の開放性や断熱性向上による空調的理由などいくつか理由がありますが、それは別の記事で詳しく説明していくことにします。住宅における個室のミニマル化は社会システムの変化や価値基準の変化とともに住宅においても共用志向へと変化しています。

書斎よりみんなで使えるスタディスペース

高度経済期を過ごしてきた中高年男性の憧れとして住宅を建てるなら書斎が欲しいという願望も近年薄まってきているように思います。その一方で会社のテレビ会議などで書斎が欲しいという要望もコロナ禍においては増えてきています。しかしながら、現実は予算の関係もありみんなで使えるように共用部分にスタディスペースを計画するケースが多くなっています。

子供室のカウンターとロフト(高松市松島の家)

廊下の幅を広げることで使えるスペースへ

昔の家は個室充実型で個室間を繋ぐ廊下がかなりの床面積を占めています。最近の住宅では廊下の幅を広げることでスタディスペースはフリースペースとして使えるスペースとして結果、廊下を無くすプランが普及しています。また、廊下を兼用することで床面積の効率化を図ることも可能となります。

廊下兼用のフリースペース

個室の収納をなくしてファミリー・クローゼットに集約

通常は個室の中に収納がありますが、最近の住宅では脱衣室近くにファミリークローゼットを計画するプランが一般化しています。家族の衣類を1カ所に集約することで脱衣室で室内干ししたものをハンガーでそのまま、ファミリークローゼット内のハンガーパイプに掛けることで、洗濯物をたたむ必要もなく一石二鳥です。また、家事動線の短縮化を図ることが可能となります。

廊下兼用のファミリークローゼット

まとめ

所有から共有へ思考を移行することで生活の無駄を省くことができ、且つ資源の有効利用を図ることができます。共有の概念はSDGSの観点からも理に適った考え方であるといえます。結果的にエコでお財布に優しく生活がしやすく、快適で開放的で魅力的な空間が実現できます。現代の住宅を構成するには最新の住宅設計を理解して設計を進められる建築家に依頼することが鍵となってきます。ご自身にあった建築家や設計者を探すことを始めてみてください。

建築家と建てる現代のデザイン住宅

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