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当方グルメ日記2

カツ丼
子供の頃、あの店で食べた料理が忘れられないということはあるだろうか?今は亡き店の味だったり、その味が現在でも続くものだったり…。人によって様々だが当方にとってそれはとある中華飯店のカツ丼である。
もし当方の日記を見る人は間違いなく中華屋でカツ丼?!と突っ込むだろう。…この店はもともと日本風の中華料理店の流れを汲むお店で本場中華にはない料理もあるのだ(例えば麻婆焼きそばとか…)。
…当方がここのカツ丼に出会ったのは幼稚園児のときだった。カツ丼は家でも知っていたので試しに注文して食べたところ……ハマってしまったのだ。衝撃的だった。トロトロでアツアツで食べ応えがあってあまじょっぱくて!……気づいたらなくなるほどだ。当時は消費税が安く学費がなかった(小学生時)ので月に2度はこの中華飯店でカツ丼と餃子、もしくは酢豚定食を食べていた。年月が経つにつれ、だんだんその中華飯店には足を運ばなくなった……。そして最後に食べてから約5年後、当方はあの味が恋しくなってしまったのだ。店に足を運ぶと……扉が新しくなってる以外外観は変わっていなかった。はやる気持ちを抑えながら店へと入る。
これまた、テレビと床のタイル以外変わってない……。当時のワクワクが抑えられなくなってきた。早速メニューを見てみよう^_^
「麻婆焼きそば…惹かれるがやっぱり…すみません!」
「はい、ご注文は?」
「カツ丼ど餃子を1つ。」
「かしこまりました。餃子1つ、カツ丼1つ!」厨房へと叫ぶオーダーに懐かしさを感じる。

「お待たせしました、カツ丼と餃子です。」
「おぉ…これはっ」
当方、待ちきれないっ。だが当方、ここでまずはルーティンだ。最初は紅生姜をカツ丼に乗っけて、次に付いてきたスープを一口…
「うまっ😋」
思わず笑みがでる。そしてカツと卵、ご飯と紅生姜を共に口に入れる。
「!?⁈」
口の中にはあのころの味が広がっていた。甘さとカツの硬さ、卵のトロトロ、もっと食べたくなるような感覚、全てあのころのままだ。当時たべれなかった紅生姜も全く味を邪魔しない。むしろ新しく記憶を書き換えるほどだ。
「ぁあ…」
子供の頃の記憶がまた思い出す。嫌なことがあってもここのカツ丼は優しく甘く当方を支えてくれたことを。スープのあっさりさ、大きな餃子も…全てあのころのまま。取り巻く環境で当方の精神は変わってしまったが…あの味あの場所が当時の心情を映し出す。まるでセピアの世界…懐かしくそして戻れない風景がそこにあったのだ。…すこし涙が出そうになった。もし…あの頃に戻れたなら…もう一度また平和な心情であの店のカツ丼が食べたいと思う今日この頃だ。

2019年1月19日記録

#小説 #カツ丼 #あの店のあの味 #グルメ
#孤独のグルメ風 #日記

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