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「PERFECT DAYS」を7回見て6回チューハイを飲みに行った。何はともあれビールの私が。


【以下、ネタバレありです】

「PERFECT DAYS」を7回映画館で見た。12月25日に見て、すぐにもう一度見たいと思ったが、年末年始の諸々でかなわず、2回目を見たのは正月気分もなくなり日常に戻った1月18日だった。

3回目は1月22日、次が1月25日、1月28日と翌29日は2日つづけて見た。そして2月2日に7回目を見た。2月5日にも映画館には行ったが、ウディ・アレンの作品を見たので、今のところ7回しか見てない。

もう一度二度は映画館で見てみたいと思っているが、その前にロケ地巡礼に行ってみたいと思っている。とくに主人公・平山の暮らすアパートと近くの神社、そして銀座線浅草駅改札近くの、平山が通う酒場へ。

7回のうち6回は見終わってから、桜木町の昼間からやっている酒場に行き、まずチューハイを頼んだ。7回のうち5回はひとりで見たが、それ以外の2回は友人もしくはカミさんと見た。カミさんは昼間から酒場に行くことを好まないので、チューハイを飲んだのは6回になる。

酒を飲むなら何はともあれビールを私は飲む。よく冷えたシャンパンを食前酒に頼んだ気取った席でも、まずビールを飲まないと落ち着かない。ビールを飲んだらワインか日本酒で、酒場によってはハイボールかレモンサワーを飲むこともある。だが、チューハイは長らく飲んでなかった。

チューハイは安酒の象徴で学生時代に浴びるほど飲み、その結果どうなるか記憶に刻まれているので(けして愉快な顛末ではなく)、周りがチューハイかホッピーばかり飲んでいるようなセンベロ酒場でも、チューハイの倍の値段はするビールを飲んでいた。

けれども、「PREFECT DAYS」を見たらならば、酒飲みであれば誰でも、まずチューハイがうまそうな酒場を探し歩くであろうと思う。20世紀に書かれた村上春樹の小説を読んだならビールを飲みたくなるように。

21世紀になって38年ぶりに飲むチューハイはうまかった。ビールをあえて注文する必要もなかった。「PERFECT DAYS」を見たには、チューハイだけを飲んでいて満足だった。

映画を見る日は、カミさんは仕事である。私は桜木町から電車を乗り継いで明るいうちに帰宅し、猫の世話をし、洗濯をしまい、晩御飯を支度をしなければならない。そのノルマをこなせる程度でチューハイを切り上げるのは、還暦近くになっても難しい。



「PERFECT DAYS」を繰り返し見るようになってから、平山が何度の朝を迎えているのか。それが気になって映画を見ながら指折り数えるようになった。

それだけで足りずに映画そのものを一日ごとにノートに起こし、パソコンで打込んでみた。これはかなりの労力であったが、映画を理解する上でとてもよかった。

私の場合、この映画を何度も何度も見てしまうのは、この映画の何に惹かれているのかがよくわからないからだ。一回ではまったくわからない。おいしい酒は水に似ているというが、この映画はさくっと飲めてしまってまた飲んでみたいと体が欲するけれども、振り返って考えてみてもどこがおいしいのかよくわからない酒のようだ。



以下はノートから平山の生活についての考察。
気づきがあれば随時更新します。

☑平山は12回朝を迎える。
☑ホームレスは平山の守護神として登場する。平山がホームレスを見られる状況にある時、平山が平安である。ホームレスが公園を去った時から、平山の生活は乱される。ホームレスを公園通りの交差点に発見した時、平山に平安が戻る。
☑1日目、2日目、3日目までは出勤、4日目が公休。5日目から6日目、7日目、8日目、9日目、10日目まで出勤。11日目が公休。12日目からまた出勤。このシフトだけ見ると、6日働いて1日休み。とはいえ週休1日とは考えにくいので隔週で週休2日と考えるのが妥当だろう。
☑「SWITCH」の特集によると、平山は5時15分に起きて5時30分に出発するとのこと。1日目最初のトイレがある恵比寿東公園から平山のアパートに近い江東天祖神社までは車で30数分。となると平山は6時から掃除を始めると想像できる。
☑平山が通う銭湯「電気湯」は15時開店。「電気湯」から平山のアパート近くまで自転車で7分。開店と同時に平山は入る。その前に車をアパートに停めて着替えるので、掃除の仕事を終えるのは14時と考えるのが妥当であろう。1時間休憩で7時間労働の8時間拘束。7時間で6日出勤というのは週42時間。隔週で週休2日休と考えると、5日出勤の日は週35時間。週平均38.5時間労働と推測される。
☑おそらく東京都もしくは渋谷区に委託された清掃会社と雇用契約を結び、時給パートの契約社員で時給は1,240円(JRの駅清掃員と同等と解釈)と見立てる。平均して24日出勤7時間労働で208,320円となる。社会保険と税を控除すると17万円程度の手取りと推測される。
☑一方支出の方は、江東区のスカイツリーが見える場所で風呂なしの昭和物件でも、駐車場付でメゾネットタイプとすれば、家賃が6万円近くするのではないか。銭湯が一回520円で週6回行くとして1万3,000円。缶コーヒーが毎朝で140円×30日で4,200円。仕事の日にはコンビニでサンドウィッチと牛乳を食べるから450円×24日で1万800円。ここだけで8万8,000円。水道光熱費入れたら10万はかかると考えた方がいい。
☑平山は行きつけの酒場に頻繁に行っており、週に4回くらい行くと考えられる。一回で1,300円くらいは使っているので約2万円。休みのたびに写真を現像し新しいフィルムを買うから3,300円×6回で約2万円。コインランドリーも休みに行く。300円×6回で1,800円。古本屋で100円の本を買うから600円。ここまでで4万2,400円。17万の手取りだと残り2万7,600円。
☑さらに平山は、石川さゆり演じるママのいるこじゃれたスナックに行くことを休日いちばんの楽しみにしている。ママが平山を贔屓にしているにしても、1回3,000円くらいは払うだろうから6回で1万8,000円。となると平山には9,600円しか残らないことになる。
☑これだけ残りの日に食事にもあぶれることになるので、パート社員ではなく、一年更新の契約社員と考え、年に1か月程度でもボーナスがあると仮定するか、それともパート社員であっても、The TOKYO TOILET PROJECTのメンテナンスする清掃員だから、時給もすこし高くて1,350円くらいであれば計算が成り立つ。
☑️あるいは平山は65歳を越えており、いくらかの国民年金を貰っている。満額でないにせよ、月に3万でも貰っていれば計算は成り立つ。役所広司は66歳でこの映画を撮影していると考えられるから、年金受給者であってもおかしくない。

この分析がおもしくなり、この続きは、以下に記載しました。ぜひ、読んでみてください。


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