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スポーツの「放映権」って一体何?

スポーツ中継の有償化

先日、サッカー日本代表がW杯出場を決めました。
その出場を決める歴史的試合が、テレビの地上波ではなく、動画配信サービス「DAZN」で放映されたことが、話題になりました。

私もプロ野球観戦(阪神)が趣味なので、昨年まではシーズン中だけ月額制の「DAZN」を契約し、気が向けば阪神戦を視聴していました。

しかし、あくまで有料の動画配信サービス。
課金してまでスポーツ観戦をしたいとは思わない大半の層に、スポーツの魅力を届けることが更に難しくなり、ファン層を広げる機会は削減しそうです。

放映権とは?

記事では、W杯アジア予選の放映権は、アジア・サッカー連盟(AFC)が管理していると記載されています。

そもそも、放映権とは一体なんでしょうか??

プロスポーツに関わってる人はよく耳にするこの言葉ですが、そもそも、日本には「放映権」を定義した法律はありません。

明確な定義はありませんが、一般的には「放映権」というと、そのスポーツを放映する排他的な権利と考えられています。

排他的な権利だからこそ、第三者に対して、放送を許可する代わりに、その対価としてライセンス料を受け取るという交渉ができるようになります。

プロスポーツの放映権

では、放映権は誰に帰属するのでしょうか?

大きく分けて①施設管理者、②主催者、③選手(の肖像権に由来)の3パターンが考えられます。

①施設がなければそもそも試合ができないのであるから、施設を使用させている施設管理者にあるとするのが一番素直なように思えます。しかし、実際は②主催者が施設に使用料を支払って試合を行っているため、その使用料に放映権も含まれている、と考えるのが自然かと思います。

しかし、実際はこのような議論はほとんど生じません。
プロスポーツはほとんどがそのリーグのアグリーメントなどにおいて、放映権の所在を明記しているからです。

このリーグ・チーム間の取り決めにより、放映権の帰属先が確定し、放映権を保有している主体が放映権販売活動を行います。

NPBでは、原則として各チームが放映権を保有しています。
2022年現在、NPBでは、広島東洋カープだけが「DAZN」に放映権を販売していないため、広島のホームゲームのみ「DAZN」で視聴することができません。

しかし、このように、各チームが個々に放映権を持っていてもビッグビジネスとして活用できるのは、国内スポーツの中でも、圧倒的知名度と人気を誇るNPBだからこそ成せる技と言えるでしょう。

放映権の価値とは?

放映権料は、通常のサービスと同様、需要(スポーツを配信する側)と供給(放映権を販売する側)のバランスによって決まります。

そうすると、放映権の価値を高めるには、供給元を限定し、かつ、その質(人気やファン数)を高めていくことが必要になります。

そのために一番手っ取り早い方法は、プロスポーツを運営するリーグが一括して放映権を保有し、それを販売することです。
これにより、供給元はリーグ1つに限定され、かつ、リーグに所属している全チームの試合が観れるので、必然的にファン数も統合されます。

このように、リーグが放映権を一括保有している例は、Jリーグ・Bリーグ・Fリーグ(フットサル)などが挙げられます。これにより、「DAZN」や「AbemaTV」など、巨大動画配信サービスに放映権を販売することが可能になります。

マイナースポーツの放映権

放映権は、プロスポーツにおいて貴重な収入源の一つとなります。

加えて、多くの媒体で取り上げられることは、それだけ多くの人の目に触れることになるので、広告掲載価値も高まり、スポンサー獲得にも繋がるという副次的なメリットもあります。

そのため、放映権をどう取り扱っていくかは、あらゆるスポーツにおいて重要な課題になります。
現在では、YouTubeを始めとする、無料で配信できるプラットフォームも多く存在し、誰でも簡単に世界に向けて試合を発信することができるようになりました。

しかし、無料で簡単に配信できる分、ライバルも多く、広告収入を稼ぐだけの再生回数を得ることは、一筋縄ではいきません。

無料で配信しまずはファン層獲得を目指すのか、もしくは供給元を絞り、放映権料での収益を図るのか、、、マイナースポーツの運営者は常にこのバランスに頭を悩ませることになるでしょう。

まとめ

以上、知ってるようで意外と考えたことのない、放映権のお話でした。

スポーツベッティングが合法化することにでもなれば、放映権はまた別の側面を出してくるのかもしれません。その辺りもいつか考察してみたいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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