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#エッセイ

「つまらない」と感じる原因は「知らない」から発生している

「未知のジャンルでも本を10冊読めば大枠を掴むことができる」 数年前だろうか、上司からそう教わって以来、「つまらない」「興味ない」の判断は本を10冊読んでからすることにしている。 その習慣をつづけていると、面白いことがわかった。 「つまらない」と感じる原因は「知らない」から発生していることがほとんどで、 10冊分の知識をインストールしてそれでも「つまらない」と感じることはほぼない、ということだ。 たとえば、ライティング・ゼミの受講生さんにも 「まったく興味のない分野につい

ガールズバーで一番人気だったあの子はちゃんと幸せになれたのかな


  ガールズバーで一番人気だったあの女の子はちゃんと幸せになれたのかなと、いまでもときどき、思い出すことがあります。どうしてだろう。不思議なものです。おそらく私が今後の人生で彼女にふたたび会うことは万が一にもなく、彼女が幸せだろうが不幸せだろうが、私にはいっさい関係のないことなのです。それでもどうしてか、ときどき思い出してしまう。あのとっても可愛くて親切な女の子は、ちゃんと幸せになれたのだろうかと、どうか幸せでいてほしいと、願ってしまうのは、なぜなのでしょうか。  彼女と

激レアさん放送後「歯茎」と言われ続けてコンプレックスが増えた話

えーと、激レアさんが放送されてからもう半年以上たつんですけどね、いまだに思い出すんですよ。なんでだろうね、名前も顔も年齢も知らない、何ひとつ知らないはずなのにね、浮かんでくるんですよ、あの歯茎をぐいっと剥き出しにしたキャラクターの顔が。毎朝鏡を見て化粧水を塗るとき、洋服を着替えたとき、あとはとくにあれかな、口紅を塗るときかなあ。顔色がパッと明るくなる、レブロンのオレンジのやつ。大学生のころからお気に入りでもう何本もリピートしてて、塗った瞬間にふわっと気分が上がる。本来そういう

このまま30歳になって大丈夫か症候群

アラサーである。 紛うことなきアラサーである。今年で29歳。27歳くらいまではまだまだヒヨッコの気分が強かった。というよりも、年齢の感覚があまりなかった。それよりとにかく仕事を軌道に乗せるのに必死で、歳を重ねることについてなんてほとんど考えられていなかった。し、考える必要もないと思っていた。 だいいち、私はもともと「はやく大人になりたい」と思っていたタイプである。学生のころから「まああなたはまだ若いからね」と大人から優しく諭されるのがなんとなく嫌で、はやく一人前の大人と認

誰か私の隣の非常識なマッチョを黙らせてくれ

非常識である。 非常に、非常識である。 何が非常識って、隣のマッチョの上腕二頭筋である。 いやー、この1年で運動不足がたたって、ついに自宅にいるのに飛行機に12時間乗ったあとみたいに身体がガチガチになってしまった。足のむくみがひどく、ストレッチしてもなかなか治らない。どんどん身体が衰弱していくような恐怖を感じた私は今年、ついに近所のジムに通うことにした。 そのジムはいわゆるヨガとかエアロビとかを真剣にやっているようなところではなくて、最低限のマシンと運動スペースが用意

コミュ障はコミュ障と言われるからコミュ障になるのだ

この記事は、WEB天狼院書店で連載していたブログ「川代ノート」の再掲です。 小学生の頃、私はクラス内カーストの最底辺にいた。 おとなしく、運動神経が悪く、暗い。いつも教室の隅で、ノートに絵を描いている。そんな子供を想像してほしい。周りに人間が集まってくるはずがない。 いわゆる「オタク」というやつだったんだろうと思う。周りからすれば。子供という生き物は、残酷である。子供は、ドッジボールをするでもなく、教室の中でおとなしくしている人間にたいし、純粋な軽蔑を抱く。 カースト最

犬を見たい人と犬を見せたい人をマッチングするサービスがほしい

犬を見たい。禁断症状が出ている。1年前に死んだピース(トイプードル・14歳没)の残像がちらつくほどにはしんどくなってきている。くっ。ピースと暮らしていたのはもう6、7年も前なのに、いまだにキッチンで玉ねぎのかけらを落とすと「やばっピースが」と慌ててしまう(犬はネギに弱く食べると中毒症状を起こし、死ぬこともある)。キッチンの下で「伏せ」しながらも、チラリと白目をのぞかせ虎視眈々と頭上から降ってくる食材を狙うときの、あのがめつさといったらなかった。落ちてくるものは別になんだっ

ダメ就活生だった7年前の自分が書いた文章が古いUSBから出てきて爆泣きしてしまった

なんだ、この43ページもあるファイル。 リモートワークで重くなったPCを整理していたときだった。古いダウンロードファイルやいらなくなったソフトを削除しているとだんだんスイッチが入ってきて、もうついでに古いUSBのデータも整理しちゃおうと思い至った。ついさっきのことだ。 昔書いた記事や留学時代の写真まで、とくに整理せずに古いファイルがまるっとぶち込まれていた。こりゃカオスだな、とひとり呟きながら「ブログ更新用データ」と書かれたフォルダを開いてひとつひとつ中身を確認していると

「飲み会に使う無駄な時間」という言葉の意味が変わってきた

「一流になりたければ飲み会に参加するのはやめましょう。時間の無駄です。いいことはひとつもありません」  先日、YouTubeを見ていたときのことである。若くしてビジネスで成功したらしい人の動画をたまたま見つけて開いてみた。彼の語る仕事術や成功法則はじつにわかりやすく、たしかにそのとおりだなと思うことばかりだった。  飲み会に参加する時間は無駄。  おっしゃるとおり。  飲み会に行ってだらだらと話し、仕事の愚痴を言いあい、酔っ払ったあかつきには記憶をなくして何を話したんだかさっ

絶対にもう二度と食べられない「エモごはん」は何ですか

「エモい」という言葉がある。 Wikipediaによると、こういうことらしい。 「うわ〜〜〜エモ〜〜〜〜!」と言ったりするわけだが、個人的には、「エモい」とは、「絶対に会えない人・体験できないこと・行けない場所」への寂しさ・切なさを、他者と共有するために使うものだと思っている。 「かつて手にしていたが、もう二度と手に入らないとわかっているものへの渇望の気持ち」をあらわした言葉じゃないか、と。 たとえば最近、私が「うわ、エモい!」と叫んだのは、ディズニーリゾートのファストパ