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微笑みの魅力

戦国無双シリーズ、信長の野望などのゲームに熱中していたので、
人生で最も触れていた時代は戦国時代だと思います。
逆にあまり触れていない時代はいつだろうと、ふと思い立った次第です。
各時代、それぞれに思い入れはあるのですが、
室町時代についてはあまり思い入れがないんですね、、、
なぜだろうと考えた結果、興味が持てる人物がいなかったからですね。
そこで室町幕府を開いた重要人物の足利尊氏について、興味深いエピソードがありましたので、それが今回の表題につながります。

人物像

今回は尊氏の人物について書いていきますので、歴史的な意義や功績は省きます。
では『梅松論』にて論じられている尊氏の魅力を以下にまとめました。

①心が強く、合戦で命の危険にあうのも度々だったが、その顔には笑みを含んで、全く死を恐れる様子がない。

②生まれつき慈悲深く、他人を恨むということを知らず、多くの仇敵すら許し、しかも彼らに我が子のように接する。

③心が広く、物惜しみする様子がなく、金銀すらまるで土か石のように考え、武具や馬などを人々に下げ渡すときも、財産とそれを与える人とを特に確認するでもなく、手に触れるに任せて与えてしまう。

また『源威集』では、戦の中で危機的状況に陥った際、尊氏は「例の笑み」を浮かべ、「合戦で負ければそれでお終いなのだから、敵が近づいてきたら自害する時機だけを教えてくれればよい」と答え全く動揺することがなかった、と記載されています。
※『梅松論』と『源威集』は室町幕府寄りな書物とされています。

極私的な意見

②と③における評価に関しては、尊氏の度量の大きさ、武家の棟梁としての魅力が書かれていると思います。
ただ③の微笑みに関してどうでしょうか。
どんな状況においても動揺することなく、胆力のある人物と解釈したらいいのでしょうか。
武士にとっては、戦において強いこと、冷静かつ勇ましく戦うことこそ評価が高いはずなのですが、それを微笑みと表現するのはどういうことなのか。
命懸けの戦場で、危機的な状況の中で、自分の大将が微笑みをもらしたら、
周りの武将たちはどう思ったのでしょうかね。
度胸のある人物と映ったという反面、この人を支えてあげたい、負けさせるわけにはいかない、ということもあったのかもしれません。
その他エピソードとしては、後醍醐天皇に背いたことを悔やんでおり、突然出家すると言い出したりしていたようです。
ここまで優柔不断で迷える人物に多くの武士が従うとはどういうことなのか。
ただここまで人間くさいと物語の主人公のようにも思えます。
それにしても、人物の評価に微笑みが書かれていること自体、おもしろいですよね。

※尊氏の肖像画ですが、最新の有力なものが発見されています。
ただ今回は自分のイメージが見出しの肖像画だったので、そのまま記載しています。




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