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歴史とは何か

学生の頃から気になっていて読めずにいる本はたくさんある。そのうちの一つが『歴史とは何か』著者 E.H.カーだ。
まだすべては読めていないが、冒頭の清水幾太郎のはしがきに非常に興味深い部分があった。



はしがきにおいて清水は本著を現代における最も新しい、最も優れた歴史哲学の書物であると語っている。(ちなみに本著の初版は1962年)
さらに清水はE.H.カーの歴史哲学の精神として「歴史は、現在と過去の対話である」を挙げている。その詳細については本著を読み進めていけば分かることだろう。

私が非常に面白いと感じたのは以下の部分だ。

われわれの周囲では、誰も彼も、現代の新しさを語っている。ー中略ー
しかし、遺憾ながら、現代の新しさを雄弁に説く人々の、過去を見る眼が新しくなってることは稀である。過去を見る眼が新しくならない限り、現代の新しさは本当に掴めないであろう。

概要としては過去を見る眼が変わると現代を見る眼が変わるということだろう。つまり、現代の新しさを見つけるためには過去の新しさを見つける必要があるということだ。
最初は直感的に理解できなかったが、あとで考えてみると納得できることもあった。たとえば、ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』を読んだときに過去の見方が変わることで現代の見方も大きく変わったことなどだ。
国家、法律、貨幣、人権などは過去の人々が作り出した虚構である。ともすれば現代にある虚構は何か、という考えも自然と出てくる。

清水が述べているように過去を見る眼、考え方を養うことは現代を見る視点も変えていくだろう。



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