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縦書きマック論

オリコンの電子コミックサービスについての満足度調査についてのリリースを読みました。

まず気になった項目は、無料利用か有料利用か。無料利用が61.5%と、やはり無料は強いなという結果。

その中でも特に年代別の結果に注目です。有料で利用している人が一番多いのが50代で50.5%に対して、少ないのが10代の6.2%。さらに30代から先はそんなに差がないのに、20代との間に倍近い差がある。

10代が低いのは自由に使えるお金の差から来る金銭感覚の違いの可能性がありますが、20代と30代の違いがわからない。これが若い時から無料コンテンツに慣れている結果のネットコンテンツは無料で当然という価値観の違いであれば、このまま大きく上昇しないまま年齢がスライドしていくことになり、コンテンツ産業は大ピンチです。どうなのかな。

さてそうするとコンテンツに価値を見出してもらうことが必要になるわけですけれども、有料コンテンツを買ったきっかけについての質問がありまして、「試し読みで続きが気になった時」が74.8%とぶっちぎりの最多でした。やはり導線づくりが大切だなあと思うんですけれども。

この手のニュースを気にしているのは、自分がセルフパブリッシングに手を染めているからで、その場合はどうすればいいのか。「試し読みへの導線」も問題になってきます。やはり難しい問題ですね。

さて、もう一つの注目点は、縦横問題です。

どちら派か尋ねる項目では、縦読み派11.3%、横読み派48.9%。こだわりがない人も31.3%いますが、横読み派の優勢。

このあいだ堀江貴文氏の「『鬼滅の刃』で日本の漫画文化は10年遅れた」という話題を見かけたのですが、「遅れた」という言葉を使っているのは、横から縦のシフトが進化だと思っているからですよね。

僕は何度か書いていますけど、縦スクロールのwebtoonはスマホ読書に最適化した結果ではないかと考えています。スワイプしやすいというのがまずあって、画面の小ささに対して一コマ表示が増えていく。さらにはデータを取りやすいのでどのコマで離脱したのかもわかる。

その結果、演出面、ストーリー面にも影響があり、縛りが強くなっているように見受けられる。なので描けるものも違ってくるのではないか。

これをうまく例えられないかなーと常々思っていたのですが、今回この記事を読んでいて、ふと一つ思いつきました。それがタイトルの「縦書きマック論」です。

お昼に街に出てご飯を食べる。この時のハンバーガーショップとファミリーレストランの比較が、縦書き横書きの比較に似ているのではないか。

どちらもハンバーグは食べられます。どちらも、日曜昼のファミリー層のちょっとした外食や、放課後学校帰りに友達とちょっと寄っておしゃべりする等の需要に応え、お客さんの層はわりと似ています。

ただ、ハンバーガーにはテイクアウトできるという、より便利なお手軽さがある。

それに対してファミレスは、ハンバーグ以外のメニューが多彩。スパゲティ等の洋食だけでなく、お店によってはラーメンがあったり丼物があったりします。

ハンバーガーの方がお手軽だけれど、「丸いバンズに何かを挟む」というイメージ的な縛りが強い。ラーメンはさすがに挟めない。この内容、客層が類似しているけれど、提供できるものはちょっと違うという部分が似ているのではと思いまして。

さらに、ファミレスとハンバーガーショップでどっちの方が売り上げがいいかという比較はできるけれど、ファミレスがハンバーガーショップに看板架け替えることを進化だとは言わないじゃないですか。そういう関係じゃないかなと考えているわけです。

今、週刊少年サンデーで『スーパーストリングー異世界見聞録ー』というwebtoonとの同時連載作品が載っていますが、原作の尹仁完先生がwebtoon側の人なんですね。読んでいると、やっぱり似ているけれど違うなあと感じます。コマの割り方は掲載媒体に合わせて変えているのですが、目に入ってくるテンポが違うので、印象が変わるのです。

さて違うものだとすると、気になるのは年代別のデータです。この先どうなるのかなということなのですが。

それは記事には載ってなかった。どうなってるのかなあ。

(ブログ『かってに応援団』より転載)

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