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映えないドバイ

さて、未来博物館に行ったところで夕方になった。もうそろそろ、外を歩くことができるだろうと思い、先ほど一瞬降りた駅に戻る。いよいよ「スーク」を見に行くのだ。旧市街とも言われるこの地区は、一体どんな雰囲気なのか。写真を見てもらうとわかるが、全く美しくはない。

先ほどは暑くて断念したメトロ駅の、ひとつ先で降りてみた。景色が多少変わるも、相変わらず暑い。夕方でも37度あるのであった。マシになったのは日差しだけだ。これが多少マシになっただけでも歩けるようにはなった。

駅の周りはボロくて汚い駐車場のような開けた場所だった。例によって車社会なので、大きな道路に挟まれている。だんだん歩行者のための道がなくなっていった。すぐ脇を通りすぎる車に恐怖する。メトロが整備されているし、お金持ちの国のイメージがあるので、メトロ駅から歩いて観光するのは余裕だろうと思っていたのだが・・・。全くそんなことはない。暑いが故に車社会であり、歩行者にはとことん優しくない。

本当に観光地なんかあるのか、みたいなじゃり道を進み、やっと道路や通りにある店が見えてきた。次にいつ渡れるかわからない広い道路を念の為早めに渡っておく。すると右側はゴールドを売る店がちらほら現れた。しばらく進んでいるうちに、恐ろしいことに気がついた。街を歩いているのが、ほとんど全て男性なのだった。女性1人であるいている人はもってのほか、歩いている人に女性がほぼいないのだ。観光客でさえ。これには歩きながらだんだん心配になってきた。不安と暑さで急足になり、汗がダラダラでてきた。道の脇に冷房が通ってそうなモール(と言っても薄暗くて屋根があるだけのような)を発見し、そこで一瞬すずむことにした。この辺にあるのはみんなゴールドの
店なので、ちょっと入って涼むついでに冷やかし・・・なんてことはできないのである。屋根のある、いくつかまとまったお店を有するところで涼みながらうろうろしていたら、ひとつ裏の路地がチラッと見えた。そこには、男性店員なのか、全員がそうとも思えないが、何人も路地に直で座って屯していた。その光景はかなり怖かった。これはあかん。

回れ右して元来た道に戻り、好奇心に任せることはせず、Googleマップ上で太めの通りを選んで進んだ。次のメトロ駅ですぐ帰ろうと思った。また少し進むと、やっとのことで探していた「ゴールドスーク」にたどり着いた。

ここは活気があって、外国人観光客の中に女性も混じっていて、比較的安心できた。ガイドにも載っている観光地だ。しかし、ゴールドなんて買う予定はないので、軽く通ってみるだけにした。

どこもかしこもゴールドだらけ。一体いつ身につけるの?といったものから、かっこいい、ちょっと欲しい腕輪まで、道に面しているほとんどの店が金を売っていた。

やはり道端に立っている男性が客引きしたりしている。1人で通るのはあまりおすすめしない。さっさと帰ろう。

ということで、スークをスタコラサッサと後にした。最寄りのメトロに乗りたい。ドバイは煌びやかな面だけ見れればもういいわ・・・。

また37度の灼熱地獄の中をゆく。しんどい。汗がダラダラである。一刻も早く映えないドバイから抜けたかった。大通り戻り、歩いている人がまばらの中、昼間偵察のために降りた駅に狙いを定めて歩く。本当に暑い。来なきゃ良かったレベル。散々文句を心の中で言いながら、大きな歩道橋にのぼって、非常にわかりにくいメトロ駅の入り口まで辿り着く。熱中症で倒れたら発見は遅いだろうな。そのくらい車社会だし、人がまばらだし、しかも歩いているほとんどが男性なのであった。もう、無鉄砲に観光するのはやめようと思った。

駅に駆け込むようにして入る。その入り口の目の前に、痩せ細った子猫がニャーニャー鳴いていた。暑いよね。涼しいメトロ駅に入れてあげたいくらい。でも、その猫も暑さでこれ以上動きたくないように見えた。

なんとかメトロに乗って、ドバイモールを目指す。2日目にして、ドバイモールにはすでに安心感を抱いていた。モール内は安全だし、お店も豊富で飢えることもないし、人も多いし、何より涼しい。晩御飯を何にするか考えながら電車に乗った。

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