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次はいつになるのかな~家族三人での花見~

 つい数日前、住んでいる地域で、桜が満開を迎えました。

 自分自身の幼少期には、お弁当広げてということもあったけど、学生時代や社会人になってから、飲み会やお弁当を伴った花見をした記憶はない。
 親と一緒に散歩して眺める、という程度。

 結婚して、ニュージャージー住んでいる間も、札幌に住んでいる間も、ソメイヨシノがビッシリ咲き誇っている、という場所は身近になかった。

 今の土地に移ってくると、夫の職場周辺で桜が毎年美しいと知った。
 幼い息子を連れて、仕事の昼休みを抜けた夫と待ち合わせ、お弁当や桜餅を食べたものだ。

 息子が小学生になって以降は、週末に満開の時期が重なり、天気も良いと、お弁当買って三人で花見をした。あくまでも週末にタイミングが合えば、なので毎年ではなくなった。

 今年はそろそろ満開になりそうだなあと思う土曜日、高校生になった息子が午前中、学校の授業があり、午後から塾に行きたいと言っていた。
 日曜は、夕方頃まで学校行事があり、夫も出張に出る。
 まあ三人で花見はしないだろう。と、何となく思っていた。

 でも土日に満開がちょうど重なるのは久し振り。そして、天気もとても良さそう。せっかくだから「お花見しようね」と夫を誘ったが、夫は息子のスケジュールを聞いて、ほんの少し、しょんぼりしていた。
 今さら、一緒に花見とか面倒くさがるのではないかと思いつつ、そんな夫を見て、息子も誘ってみた。

 学校と塾の間にあるわけでもなく、その場所は学校を挟んで、塾とはむしろ反対方面。
 「えー面倒くさい!」と言うだろうと思ったら
 「良いよ。自転車どこにとめたら良いんだろう?」と言う。


 行くと、待ち合わせ場所で息子はニコニコと、たたずんで待っていた。

 周りはあちこちに満開の桜。なんとなく場所を決め、シートを広げて座った。
 「これ、分け合って食べようよ」と、買ってきた小さなお弁当パックを広げた息子は、しばらくそれを眺め、「……。分け合いにくい物、買っちゃった。やっぱり僕が全部食べる」と笑って食べ始めた。
 桜餅などのお菓子を分け合い、お喋りを楽しんでいると、小さな女の子が、葉っぱとヒメオドリコソウを私たち3人に、それぞれ手渡してくれて、得意気な顔をしている。息子も照れながら「ありがとう」と言っていた。ゆったりと三人での時間は過ぎていった。

 その後、それぞれ写真を撮り合い、息子は自分のスマホの自撮りで、三人して写った。「来年、タイミング合わなかったら、もう三人での花見は最後かもね」と話しながら。

 そして。
 「じゃあ塾行ってくる」
 と言う息子に
 「わざわざ来てくれてありがとうね」
 と言ったら、
 「こちらこそ、ありがとうね」
 と応えてくれた。

 こちらこそ、ありがとうね。
 と言う息子に成長を感じ、自転車をこぐ背中を見送った。さわやかな気持ちと寂しい気持ちが入り混じり、胸がいっぱいになった今年の花見でした。


#エッセイ #お花見 #息子の成長  


読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。