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もう見られないパーテーションをふと思う

 2020年を境に、飲食店でのパーテーションが当たり前になり、そして昨年くらいから外されるようになった。

 人と物理的な距離をとりたい私にとってはありがたい時もあったし、家族や知り合いと話す時には邪魔にもなった。
 
 どうしても外出先で息子とランチをとることになり、向かい合った時。
 やはりパーテーションにさえぎられた。食事中はなるべく話さないようにという頃だったにしても、移動中だったため何かしら連絡事項を軽くかわそうとする。うっかり話す度に顔の前のパーテーションに気付き、聞く側は何か相手が話しているのはわかるけど聞こえない。
 お互いに「え?」と確認して聞こえていないアピールをし、パーテーションが途切れたところの近くで大きな声で話すことになって、お互いに笑ってしまった。


 今年、札幌にいたその日。
 駅にあるカフェに入ってみると、田舎とちがって混んでいるから、大きなテーブルだけが何席も空いていた。
 仕方がないからそこに座る。
 今はパーテーションはさすがにないのだけど、向かい合う間に10センチ~15センチくらいの低い棚で区切りをつけてあるレイアウト。棚の中には小さな熊のオブジェがたくさんあった。よく見たら、お土産屋さんで見る木彫りの鮭をくわえた熊だ。ミニサイズがたくさんディスプレイされている。

 まあ良い。
 自分の作業をしていたら、向かいに二人連れが座った。
 それも良い。
 めっちゃしゃべるのもまあ良い。

 良いんだけど。

 話が筒抜けや~ん。
 だって間に木彫りの熊がたくさん置いてあるだけで、距離は普通のテーブルと同じだもん。
 そのお二人と知り合いなのかってくらい近い距離で、私はコーヒーを飲み、お二人はどなたかの噂話でめっちゃ盛り上がっている。あまり探るのも失礼だとかイヤだとか以上に、自分の作業に集中したいので、できるだけ聞かない。でも集中力が切れる度に話題が耳に入ってきてしまう。何の話をしているのかよくわからないけど、めっちゃ聞こえてるよー!
 そんな話(どんな話)を、誰かや私に向かって大声で盛り上がらない方が良いよー!

 気になってしまって、ちょっと前のパーテーションが懐かしく思い出されるのだった。いや、必要なんて思わないよ。
 大きなテーブルでの会話は気をつけようと思った。



読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。