見出し画像

いわゆる「お姫様抱っこ」に挑戦してみた結果~若かりし頃~

 先日、テレビで200キロの女性をお姫様抱っこできる人はいるかというような検証をしていた。何とかできた人はいたが、その人、一歩も動けなかった。持ちあげる人が、プロレスラーとかでもダメなのかなあ。

 ところであれを「お姫様抱っこ」という呼び方するの、どうにかならないものなのか。他の呼び方があれば良いのだけど。横向きになった相手の肩とひざ裏を抱いて持ちあげる。あれを「お姫様」というのは、時代に合っていないのではないだろうか。災害現場から救出してきたよっていうような抱き方。そういうのを思いつくセンスがないから、今回は「お姫様抱っこ」と続けるけど。

 とにかくそれを観ていて、思い出したことがある。
 夫と付き合っていた頃(20代半ばの若者同士です)、その「お姫様抱っこ」なるものをリクエストしたことがあった。特に理由も目的もない。私の方が軽いのだし、どんな気分になるのか、どんな景色になるのか、どんな感覚か、ただただ試してみたかったのだ。

 夫は5メートルほど歩いて、私を運んでみた。

 すると、ずり落ちそうなギリギリ感と、夫の必死な様子に、「あぶないあぶないあぶないあぶない!!」「こわいこわいこわいこわい!!」「もう良いもう良いもう良い!!」「ごめんごめんごめんごめん!!」だった。それはそれはとても落ち着いていられなかった。ワタクシ、おそらくそこそこ重いんですよね。ええわかっています。決して軽くはないです。

 身長差も、10センチ以内の夫に抱っこされたところで、景色もそう変わらなかった。

 そして私を下ろしてからの彼は、肩でゼーハー呼吸をしていた。ガックリと膝に両手をつき、「は。疲れた……」と呻く彼。そそそんなに大変だったか。その様子に、よくギックリ腰にならなかったと思い、無理をさせたのだなと心底、申し訳なく思った。

 あれ以来、人がお姫様抱っこされているのをテレビなどで観る度、ハラハラしてしまう。本当は無理しているんじゃない? 苦しいんじゃない? 抱っこされている側もちょっと怖いんじゃない? 怪力な人が、見るからに軽そうな人を抱っこしていないと、もう私は落ち着いて見ていられない。

 世に言われるお姫様抱っこは、思っていたのとだいぶ違った。少なくとも私に関しては、二度とそんな景色を見たいなんて言わないでおこうと自分に誓ったのだった。

#エッセイ #若いカップル #お姫様抱っこ #想像と違う

読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。