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親子のこと

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親のこと、子供のこと、その関係についての考察や自分の思い出話、などなど家族に関することなら何でも ※映画の感想については含めません
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#帰省

くりかえし旅立ちを見送る

 新幹線の、進行方向に向かって左側窓際が息子の席。ホームからだと一番奥になった。  席に座ったのを窓から確認して、3人席の間が空いているとラクで良いねと夫が言う。  まあ1時間半くらいだけどね。  なんて言っていたら、隣りに若い女の子が座った。  ああ。お互いにちょっとだけ気を使うんだよねと私が言う。  まあ1時間半くらいだからね。  夫と私が互いに言い聞かせる。  奥の窓側だからこちらに気付いていないかな。  アナウンスがあって新幹線が動き始めた。  息子がパッと左

バナナを見て涙が止まらない日を越えて

 この前の春休み。二週間ほどだったけど、息子にしては長めの帰省をしてくれた。  息子が家にいない間は、そんな日々が当たり前になり、週末にリモートで話すのが私の楽しみだ。  でも息子が帰省すると、今度はそちらの方が当たり前に感じて、息子がいない日々が想像しづらい。本当にいつもいないんだっけ。とすら思う。  幼稚園時代から繰り返してきた。長い休みの前は毎回、「日中、子供がずっといっしょの生活なんて思い描けない」と思う。そして休みが明ける前も「日中、子供がいない生活なんて思い描

子供の帰省を楽しみ、夫と私の日常がまた始まる

 コーヒー豆をひく機械音がして起き上がる。キッチンに行くと、前夜の洗い物の残りが洗われている。缶やペットボトルなど息子の名残も水切りかごに干してある。  「おはゆー」朝の挨拶は、お笑い芸人リスペクトから始まる(なだぎ武が昔言っていた)。  「にゃー」夫の朝の挨拶は、猫リスペクトから始まる(犬や猫を愛でるのがもしかすると私より好きかもしれない)。  日常が戻ってきた。  夫が私より早起きーが当たり前になってしまったここ何年か。  仕事に出る前にコーヒーをタンブラーに入れていき

一人暮らし初年度を経た息子~親目線で~

 友人と話をしながら、もう一年になるんだな。と振り返った。  昨年の今頃、息子は二番目の志望校を受けに行った。  志望校も全部自分で決めて、申し込みや願書や手続きや、私にはなんにもわからないうちに全部自分で頑張ったんだったね。二度、遠い地に一人で行って、試験当日も自分で下見した会場に、自分で早起きして食事を済ませて行って、ほんとよく頑張ったよ。  それでも帰省してきた息子が、近くの小さなスーパーに向かう背中をしみじみ見ながら、「頼もしくなったなあ」とはちょっと思えない。