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100Kmライド完走!新たな挑戦へ向けて広がる旅の可能性

80kmを超えたあたりから、少しずつ自転車との一体感が生まれてくる。時折、身体と自転車が完全にフィットしたような感覚に包まれる瞬間がある。下り坂にも慣れてきて、スピードがどんどん上がる。さらに、ギアがぴったりハマった時には、上り坂でも想像以上の速さで進むことができた。この感覚がたまらなく、次の坂を越えることが楽しみになってくる。

あと20km。なんだか行けそうな気がしてくる。道は伊豆熱川へと続き、気持ちはますます前向きになる。伊豆熱川の町の中心を流れる白田川、その透明な水の美しさに心を奪われた。橋を渡る瞬間、その景色に見とれてしまい、ここでひと休みをすることに決めた。

川まで降りようと思い立ち、自転車を降りる。川へ続く階段は約3メートル、しかもかなり急だ。疲労困憊の身体が一瞬躊躇するが、「行け!」と自分を奮い立たせ、階段を下りて川に足を浸ける。水は冷たく、そして心地よい。その瞬間、熱くなった身体がじわじわと冷え、回復していくのがはっきりと感じられる。疲れが和らぎ、心も体もリフレッシュされる瞬間だ。

元気が回復した。伊豆に入ってからのアップダウンで速度は思うように出ないが、それでも少しずつ前に進んでいる。
予定よりも時間はかかっているものの、残りは約5km。まだ道のりはあるが、「行ける」という気持ちが湧き上がり、再び自転車にまたがってペダルを漕ぎ始める。

伊豆半島の地形は、複雑に入り組んだ海岸線が特徴だ。なだらかな場所には人が住み、港が作られている。しかし、人が住む地域と地域の間には必ずと言っていいほど山が立ちはだかる。この山と海が織りなす風景が、伊豆特有の地形を形成している。

人が住む地域を抜けると、必ずと言っていいほど坂道が現れる。ひたすらその坂を登りきり、再び下りに入ると、眼下にはまた新たな人々が暮らす街並みが広がっている。その繰り返しが、伊豆半島を走る際の特徴であり、登り下りを経るたびに新しい景色が待っている。

伊豆熱川を抜け、いよいよ稲取へ。これが最後の坂道だと自分に言い聞かせ、地形のイメージもつかめてきた。「いける」と自信を持ってペダルを踏み込む。しかし、思った以上にこの坂は終わりが見えない。今までの坂道とは違い、斜度もかなりきつく、脚にかかる負荷が増していく。けれど、ここで止まるわけにはいかない。

「足はつきたくない、登り切りたい」そんな強い思いを抱えながら、坂道の途中で一度ガードレールに手をかけて休む。息は上がり、「キツすぎるだろう?」と思わず呟く。けれど、ここで諦めるわけにはいかない。「えいやっ!」と気合を入れて、再びペダルを踏む。ようやく、最後の坂を登りきったときの達成感は言葉にできないほどだった。

登り切った先に広がっていたのは、まさに最初の記事の写真で収めた光景だった。眼下には、伊豆稲取の旅館や建物が立体的に並び、突き出した地形に沿って街が広がっている。その壮大な景色を見下ろしながら、自然と達成感がこみ上げてきた。絶景だ。苦労して登った坂道が、この瞬間すべて報われたように感じた

そして、坂道を下りると、伊豆稲取の駅が見えてきた。ここからは自転車を輪行袋にしまって電車で帰る予定だ。電車の時刻を調べると、まだ時間がある。
そうだ、温泉だ。到着したご褒美として、温泉に入って汗を流す。今回のライドで、もう一つやりたかったのがこの温泉だった。疲れた身体が温泉に浸かり、じんわりと癒されていく瞬間は、なんとも言えない至福の時間だった。

着替えを済ませて、再び駅へ。輪行袋に自転車をしまうのもこれで2回目。袋に入れるのはだいぶ慣れてきたが、電車に乗せる時はまだ少し緊張する。最初は気を張っていたものの、電車が動き出すと気づかないうちに眠りに落ちていた。驚くほどぐっすりと深い眠りに包まれて、心地よい疲労感が全身を包んでいた。

そして、最寄駅に到着し、家へと向かう。無事に初めての100kmライドは成功だ。初心者の壁と言われる100kmを走り切り、たしかに何かを乗り越えた感覚がある。

家に着いてから、地図を眺めながら「こんなにも遠くまで行ったんだなぁ」としみじみ思う。それと同時に、気づけばあっという間に時間が過ぎていたことにも驚く。充実感と達成感に包まれた一日だった。

次はどこに行こう?もう一度、伊豆半島を走ってさらに遠くへ挑戦するのもいい。それとも方向を変えて、北へ進むか、西へ行くか。あるいは、横須賀から船に乗って千葉の半島を走るのも楽しそうだ。地図を広げながら、自分が走れる距離や次の挑戦を想像する。楽しみはまだまだこれから始まったばかりだ。新たな冒険に向けて、心が弾む。

終わり

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