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ぱやぱやくんの本、防衛大学と自衛隊

見出し画像は89式5.56mm自動小銃。何か自衛隊のイラストを、と頼んで、こどもに描いてもらった。

クリスマスにこどもに買ったぱやぱやくんの本二冊を私も読んだ。

『今日も小原台で叫んでいます 残されたジャングル、防衛大学校』(KADOKAWA)

1ページに一つ二つ笑えるところがある。
防衛大学という大学があるのは知っていたけど、自衛隊に入る人が行く学校なんだろうな、くらいの認識しかなく、どこにあるのかも何を学ぶのかも知らなかった。
読んでみると防衛大、厳しいんだろうな、という想像の何倍も厳しいところだった。それにも関わらず読んで笑える。本を読む以前からぱやぱやくんのツイッターを見ていたので、だいたいこういう感じの本なんだろうな、と予想はしていたのに、本で読むとまたおかしくて笑ってしまう。そして防衛大なんて絶対に私には無理な世界だと思う一方で、性格や体力の面で向いていれば、人によっては防衛大に行くのもいいのかもしれないなと思えてしまう。もしも入学したい人であれば、これを読めば入試から卒業までのイメージがつかめて参考になりそう。

うちの子は防衛大に行くことは絶対なさそうなタイプの子(指示されるのが大嫌いで小学校を地獄だと言ったほどだし、食べれるメニューも限られてるし、DCD(発達性協調運動障害)で階段を一段づつ両足をそろえて降りるくらい運動が苦手)だけど、ミリオタっぽい(こども本人はこの程度はミリオタではないと言っているけど、この前も自衛隊と米軍の組織と戦略と装備品について4時間しゃべり続けてくれて、私が疲れて返事できなくなったから止まったけど、そうでなければまだまだしゃべりそうだった)子なので、とても楽しそうに読んでいた。

私が大学の吹奏楽団にいたとき、団員の中には他大学の人も多い中で一人、防衛大からうちの大学に編入したKさんという先輩がいた。Kさんについて説明するときは必ず、防衛大から来たことが語られた。とても珍しい存在だった。私には異世界から来た人みたいに思えた。
お話ししたことはなかったけど、知らなければ普通の、物静かな人で、同回生からも後輩からも慕われていた。あのKさんがこの本に書かれたような世界をくぐり抜けてきていたとは。今さらながら、Kさんすごいところから来たんですね、と思った。

『陸上自衛隊ますらお日記』(KADOKAWA)

こちらもページごとに笑える。
意外だったのは訓練で教官になる人と受ける人が入れ替わる場合があるところ。人間関係が固定しているわけじゃないのはいいかもしれない。

自衛隊というとまず思い出すのは高校の現代社会の先生。
「憲法9条に“陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない”と書かれているのに、自衛隊の戦闘機やなんかはどうだ。あれはどう見ても軍隊じゃないか」
と憤慨して熱く語っていた。

そんな授業を受ける前の中学時代でも、学校で憲法と自衛隊について考える授業があったけど、災害救助での自衛隊の活動はとてもありがたいし頼もしいけど、戦闘機等はなんだか怖いし、私はどう思えばいいのか悩ましかった。

地元にも陸自の駐屯地がある。町で自衛隊の車両を見かけることもあるし、自衛隊の服を着て通勤する人も見かけたことがある。
一緒にパートをしていた人が隊員の家族だったこともあった。
旦那さんが自衛隊の人は、またいつどこに転勤があるかわからないから、と言って、いつまで続けられるかわからないけれど仕事を一生懸命覚えていた。
お父さんが自衛隊の若い娘さんは、「お父さんこのまえ災害派遣に行きました」とけっこう遠くの地名を挙げてにっこり話していた。一回、その子と一緒に歩いて帰っていたら、後ろからそのお父さんが自転車で追いついてきて、静かに少し娘さんに声をかけて追い越していったことがあった。私の父とは全然違う、そのシャキッとしたお父さんを見て思わず
「お父さん、若いですね!」
と言ったら、その子が
「本当ですか?そんなこと言ったらお父さん喜んじゃいますよ!」
とうれしそうに笑いながら照れていてかわいかった。
その子の弟さんは卒業したら自分も自衛隊に入りたいと言っていた。
あれからだいぶ経ち、その間にいくつも災害が起きた。その度にあの人の旦那さんやあの子のお父さんやもしかしたら弟さんも救助活動に行ったのかもしれない。

この本には、鬼教官が仕事が終われば普通のお父さんに戻る様子や、甘いお菓子が大人気なこと、婚活に苦労する隊員の話などが出てくる。テレビの特番で見るのとは別の角度でおもしろい。そこから想像される人々と、私が出会った家族の人たちを思うと、隊員さんたちが戦争しなくて済むように、政治が外交などで良い方にがんばってほしいなあと思う。本当は人類全体で戦争をなくせたらいいのだけど。

そして真面目に世界平和を考えた後でふと思い出したのは、自衛官が試験でひねり出した珍回答の話。楽しい本だった。