〈詩〉大きな木

春の息吹とともに小さな芽が

他のたくさん生まれる芽の中に混じって

ひょっこり顔を出した

さんさんと太陽を受けた静かな土地の

最後の光が落ちる時

父親の固い意思のような風と

母親の愛撫のような夕陽を浴びて

その芽はやがて立派な大木になった

汽車が汽笛を鳴らす時、大木はざわめいた

大木はどんな風雨にも酷暑にも耐えた

大木の木陰でいくらかでも涼もうと

子供たちがやって来た

「ほらそっちだ」

「走れよう」

子供たちはボールを投げて、打っては、走った

遊びは、子供の母親が𠮟りに来るまで続いた

子供たちは家に帰った

それから長い月日が経ち

星々の天蓋が大木の上にかかるとき

大木は最後の葉を散らした

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