海の恵み、最高の食べ方

魚を釣ったらまずはどうしていますか?私が今までに試してみた中で最も魚の鮮度を保つ方法をご紹介します。

まずは魚を釣ったときにやってはいけないこと。それは、魚を生きたまま常温の生簀に入れることです。ええー!?
釣り場にいくと結構いますよね。バケツに海水をくんで釣った魚を入れておく人。ですが、これはやっちゃダメです。

理由は魚が暴れて身焼けしてしまうから。身焼けとは魚が温度の高い状態に長時間晒されたり、魚自身が暴れたときの運動の熱や疲れによって身が変質して味を損ねてしまうことです。もしも生簀を使いたい場合は氷をたっぷり入れて魚を動かなくさせるのが良いです。しかし、氷に直接触れているとそこが凍って魚の痛みの原因にもなりかねません。捌く必要のない小さな魚を、すぐに解ける細かい氷で冷やしておくのはオッケーですが大きな魚を釣ったときは別のやり方があります。

生簀を使わないやり方はこうです。用意するのは保冷剤と保冷バック、ビニール袋、小型のナイフ、ポリ袋、そして塩です。

まずは魚を釣ります。針を外したらすぐさま小型のナイフで頭の付け根にブスリと刺します。骨の、少し硬い感触でそれとわかるでしょう。中骨には神経が通っているのですが、その神経を切断すれば即死です。暴れなくなります。生簀の中でじわじわと殺すよりもなんぼかは苦しみが短いので僕はこのやり方がいいと思います。

続いて内臓の処理と血抜き。内臓には決して潰してはいけない部位と、長時間放置してはいけない部位があります。それは胆嚢という肝臓の近くにある臓器です。胆嚢が潰れると胆汁という苦い液体が魚の身に染み込んで味を悪くしてしまいます。なので肝臓と一緒に取り出して捨ててしまいます。もう一つは心臓や腎臓など、血液の多い臓器です。腎臓は中骨の近くにあります。指でほじくると取れます。血液は最も悪くなりやすい、腐りやすい要素です。なので早い段階から取り除けば鮮度が落ちるのを遅くすることができるんです。

食べられる内臓もあります。胃袋、そして肝臓。肝吸いにすると最高に美味しいですう。昆布で出汁をとり、軽く沸騰させたら塩味でシンプルにいただくのが良いです。トッピングにミツバが合います。

食べられる内臓は取っておき、食べない内臓を捨てたら、例のバケツの出番です。魚を軽く海水で洗い、魚を捌いたときに釣り場の岸壁にこぼした汚れを洗い流します。魚と食べられる内臓は軽く塩をふってポリ袋に入れます。水気が気になるようならキッチンペーパーも同封しておきます。こうすることで水気で魚が痛むことはなくなります。また、魚を持って帰るまでの時間は、魚を寝かせておく時間です。予め塩をふっておくと、魚を焼く寸前にふるよりも魚によく馴染みます。保冷剤入りのビニール袋に魚の入ったポリ袋を入れたら、保冷バックを閉じて完了。あとは片付けて帰るだけ。帰るまでの時間は鮮度が下がる時間ではなくなります。魚に塩がしみて熟成していく時間です。

帰ったら煮るなり焼くなり揚げるなり、お好みの調理法を。いかがですか?
この魚の鮮度を保つ方法を使えば、魚をもっと美味しくいただけます。ただ、釣りの時間は有限、釣ってすぐ捌くのは時間のロスと感じる人もいるでしょう。私の場合は、魚を釣ったら針を外し、いったんビニールに入れておき、再び餌をつけたら投げ釣りをします。ブラーなど魚の仕掛けが沈んでいく間に、前に釣った魚を捌き、再び投げ釣りの竿を確認する、というサイクルです。そうすれば時間も有効に使えます。

釣りと調理を同時にやる、しかも持って帰る時間すら、魚を塩でなじませる工程に変えてしまう。これが私の釣りのこだわりです。参考になったらやってみてください。怪我や食中毒には気をつけてください。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?