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第46回研究会 「空き家・仏壇・墓を維持することについての一考察 」(土取俊輝さん)

第46回かわきゅう研究会は、2022年7月29日(金)に京都駅前の貸会議室で開催しました。土取俊輝さん(神戸大学大学院国際文化学研究科)から「空き家・仏壇・墓を維持することについての一考察 —— 新潟県佐渡市を事例として」というタイトルでご報告いただきました。

報告者を含め19人が参加(うちオンライン12人)し、報告とそれに基づくディスカッションを2時間ほど行いました。前回に続き、対面とオンラインによるハイフレックス方式での実施で、いまは遠方にいるメンバーも多く参加しました。

土取さんの報告は、2013年より続ける佐渡島でのフィールドワークに基づいた内容で、当地の集落において都市部に移住した人々が空き家となった家屋敷や仏壇・墓を維持している事例の紹介と、事例における人々が空き家・仏壇・墓を維持する理由や背景について検討するものでした。

本報告で土取さんは、佐渡の村落社会においては、家屋敷・仏壇・墓が有する象徴的価値に由来するイエのモラリティと税金の支払や固定資産の市場
経済価値などに表象される経済的なモラリティの双方が、複雑に絡み合い、空き家の維持や処分のあり方に関係していることを明らかにしました。

報告後のディスカッションでは、イエ概念と同族概念の関係性、集落外に移住後の住民による連続性の希求のあり方、空き家が他のアクターと形成する関係、死者がイエの維持に与える影響など、多様な視点から様々な質問や意見交換が行われました。

文責:山田将太郎

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