経験を「する」と「積む」は全く別物であり、その違いについての話
経験豊かな人は、想像力豊かで多面的に物事を捉える力があります。
いつもメンタルが安定しているように見えて、物事に動じない雰囲気もある。
話を聞いていておもしろく、興味深く、とても勉強になる、周りにいませんかそういう人。
いろんな経験を積んだ人の言葉には、力があるようにも感じます。
今日は経験について考えを巡らせます。
僕の話はいつも、「気楽に気持ち豊かに生きること」を目指しているので、人生が息苦しかったり窮屈を感じている人は、暇つぶしにでもどうぞ。役に立つかは分かりませんが…。
では、本題に。
経験について、僕は思います。
「いろんな経験をする」ことと、「いろんな経験を積む」こととは全く別物である、と。
「経験」という言葉でひとくくりにされがちですが、「する」と「積む」両者の間には大きな隔たりがあります。
また、積み上げた経験の豊かさに、年齢はあまり関係がない事も付け加えておきます。
たとえば、一つ一つの経験それ自体は、一つ一つの積み木のようです。
経験することで、自分の手元に積み木が溜まっていきます。
しかし、単に経験しただけというのは、この積み木を持っているだけの状態に似ています。
それはそれで悪いことではありません。
振り返ることができる思い出も増えて、楽しいかもしれない。
一方、経験を積むとは、手元に集まった積み木を使ってなんらかの創造をすることです。
文字通りに積む行為を。
この形はここに置こう、これの上にはこれが合うな、こっちにはこれを、と、積み木で遊ぶようにして、バラバラの経験を自分の中で繋ぎ合わせたり、一旦崩して繋ぎ変えたり。
そういう想像的で創造的な作業が、経験を積むことだと思います。
もう少し具体的に例えます。
料理を作るとして、
「経験をする」とは、毎回レシピを見てそれの通りに作ることに似ています。
それをずーっと続けること。いつも料理をする時は必ずレジピを開いてやる。
一方で「経験を積む」とは、毎回の料理で自分の中にストックされた味付けだったり、火加減、素材の組み合わせを自分なりに調節して作れるようになること、に似ている。
毎回の料理で「発見」をして、次の料理でそれを「活かし」、またそこから得たものを、次の料理で。
その繰り返しの中で、初めこそレジピを頼っても、その後では自分なりのやり方を創り上げていろんな料理ができるようになる。経験を積むとは、そんなイメージです。
例え話なので極端に書きましたが、料理に限らず、自分が人生で経験したことに対してなんらかの「発見」をして、それを別の経験に「活かす」ことのサイクルが、経験を積むことだと感じます。
料理の例えでも分かる通り、「経験をした」だけでは、他に応用がききません。
これは、イレギュラーなことが自分に起こった時に対応できなくなるということ。
レジピを失くしたら料理ができませんし、レシピに載ってる調味料が無い時に、他のもので代用するという考えが浮かばない。
ヤバい…、どうしよう…、となってしまう。
一方「経験を積んだ」場合はそうじゃない。
自分の中にストックされた知見は、何にだっていつだって応用が効きます。
レジピを失くしても関係ない、調味料だって自分なりの組み合わせでおいしく料理を作れる。
積み上げた経験がいつだって自分を助けてくれるから大丈夫。
つまり「経験を積む」ことは、日々を生きる上での「大丈夫だ」という気持ちのゆとりに繋がります。
何が起こっても大丈夫。なんとかなるさ。
そういう楽観的な視点を、「積み上げた経験」は自分にもたらしてくれます。
だから経験豊かなひとは、物事に動じない、あるいは動じにくいのかもしれません。
ところで、僕は今美容師をしています。
18歳からのバイトを含めると、これまでに10回いかないくらいの回数、転職をしました。
そして、一つ一つの仕事を鏡にして自分を見た時に、その度に自分の「向き不向き」「できるできない」「好き嫌い」など発見してきて、今美容師をしています。
今自分ではこれを天職と感じ、これまでに経験したことのないやり甲斐や、清々しさを仕事に対して感じています。
僕のなかでは、自ら美容師を選び取ったというより、これまで経験の中での「発見」によって、この仕事に導かれたようなイメージを持っています。
これも、僕の稚拙なりに「経験を積んだ」ことでたどり着いた結果。
要領悪いから、時間はかかりましたけど…。
一回一回の仕事を、単に経験しただけで済ませていたら、延々とストレス退社と再就職を繰り返すことになっていたかもしれません。
そこは、「ナイス、オレ」と自分を褒めてやりたい。
そんな風に、「経験を積む」ことは自分をより生きやすくする為の、道標となってくれます。
誤解のないようにですが、たくさんの転職をすることが経験を積むことではありません。
あくまで、僕にとっての経験の積み方の1つが、そういう形をしていただけのことで、そこは人それぞれです。
仕事に就く前の、若い年齢でとんでもなく経験を積んでる人もいますから。
最後に、ここまで書いてきてアレですが、なにも「経験を積むこと」だけが大切で、単に「経験をすること」は無意味かというと、そうではありません。
ここも僕の中ではバランスだと考えています。
毎回の経験に対して「ここからなにを発見できるだろうか?」という視点ばかりに偏っていては、人生きっと窮屈です。きっと疲れます。
適材適所、自分にとって大切なポイントだけ経験を積んでいけばいいのかな、と。
そして、単に楽しむための時間。
頭を空っぽにしてのんびり過ごす時間。
友達と遊ぶとか、どっか遠くに出かけるとか、そういうただ「経験する」だけのことも、自分を楽しく愉快にさせてくれます。
それはそれで尊い大切な時間だと僕は思っています。
結局、いつも何事も大切なのはバランス。
そんな風に考えています。
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