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私が「川村屋」を継ぐと決めた理由

2023年3月31日、桜木町駅前の小さな立ち食いそば屋「川村屋」が最終営業日を迎えて、明治33年に創業して以来123年の歴史に幕を閉じました。
しかし、川村屋の存続を願う方からたくさんの生のお声をいただき、家族でも何度も話し合い議論した結果、店主の娘夫婦である加々本(旧姓:笠原)が後を継ぐ形で2023年9月に再オープンすることを決意しました。今回、その決断に至った背景や今後について多くの方にお伝えしたいと思い、店主の娘である私がnoteを書かせていただきました。


川村屋とは

人気商品のとりそば

川村屋は桜木町駅前にある小さな「立ち食いそば屋」です。
一見、どこにでもある普通の立ち食いそば屋さんですが、洋食屋として創業してから123年以上の歴史があり、多くの方から愛されてきました。
その理由の一つに「秘伝のお汁」があります。
創業から妥協することなくお汁の研究を続け、長く多くの方に愛される味を追求してきました。世の中にはいろんなそば屋がありますが、桜木町駅前という立地、お手頃な価格、年齢を問わず、おいしく食べていただけるこだわり抜いた味とサービスを多くの方から評価をいただいていました。

また、「美味しいからここで食べているんだ」とお客様が自信を持って言えるお店づくりにも尽力してきました。例えば、上司が川村屋でおそばを食べているのを部下に見られたとしても恥ずかしくないように、綺麗で清潔感のある店内、美味しいお汁とおそば、陶器の器、ガラス製のコップなど細部にも徹底的にこだわってお店づくりをしてきました。

閉店時のできごと

店頭に掲示していた閉店のお知らせ

123年もの歴史を紡ぎ、多くの人に愛されてきた川村屋。父も従業員の方も高齢になり、今後も安定した味とサービスを提供することが難しいと判断し、川村屋を閉店する決断をしました。
大変有り難いことに、閉店のお知らせを出してから、SNS上でも数えきれないほど多くの閉店を惜しむ声をいただきました。最終営業日には、1,800人を超えるお客様にご来店いただき、50人以上の常連さんが閉店時間までお店の前で待っていてくれて、温かい拍手とともに閉店を惜しんでくださいました。

・子どもが小さい頃から川村屋に親子で通いつづけてくださったお客様
・学生の頃から社会人になって職場が遠くなっても変わらず、何十年も足を運びつづけてくれたお客様
・最終日に1日3回同じメニューを頼んでくれて「自分の胃袋に川村屋のそばを刻み込んでおきたい」と言ってくれるほどお店の味を愛してくれていたお客様
・閉店後何十分もお店の前で待機して、今までありがとうと涙を流しながら拍手をくれたお客様

川村屋を閉店する決断をしてから、そんな川村屋を愛してくれるお客様の姿を数えきれないほど見てきました。川村屋は、誰かの人生にとって、ただのそば屋以上のかけがえのない存在になっていたことを改めて実感しました。

川村屋の再出発を決意

川村屋と一緒に生まれ育ってきた私は、川村屋に対するたくさんの感謝のお声や閉店を惜しむお声を間近で見聞きして「こんなに多くの方に愛されているお店を絶対に無くしたくない。123年間紡いできた、かけがえのないこのお店を未来に残したい。」という強い想いが生まれました。
なぜこのタイミングで継ぐことを決めたのかと思う方もいらっしゃると思います。私自身、もともとIT企業に勤めており、飲食店の業界とはかけ離れた世界にいたことや、一児の母として幼い子どもを育てながら本当に継ぐことができるのかという不安も正直ありました。閉店することを父から聞いた時にはまだ産まれて間もない子供の育児や激戦区の中なかなか保育園が決まらないこともあり現実的ではないと思っていました。

そんな現状もありましたが、ありがたいことに保育園が決まり、生活が整いはじめ見通しが立ってきた頃、123年続いてきた川村屋を継がない選択をしたら将来必ず後悔すると思い、自身で事業運営を経験していた夫に相談してみました。夫は二つ返事で「そこまで強い想いがあるなら挑戦してみよう。自分の過去の経験を最大限活かして全力でサポートする。」と力強く背中を押してくれて、不安な気持ちも消えて覚悟が決まりました。

父と対話を重ね、再オープンへ

店主の父と

夫と二人で、父に川村屋を継ぎたいという意志を伝えましたが、最初は反対されました。自身も勤めていた会社を辞めて、何十年も時には大変な思いをしながら川村屋を守ってきた父にとって、一度は閉店すると決めたお店を娘に継がせることは簡単な決断ではありませんでした

何度も話し合いをして、「川村屋を継いで未来に残したい」という想いを必死に伝えました。すると、私の強い想いを父も少しずつ受け取りはじめてくれました。お店を再開する際どんなハードルやリスクがありそうか一緒に考えてくれるようにもなって。同一店舗の再契約の確認、お店の再開時の収支予測など、少しずつ再開に向けて現実的な話をするようになり、数ヶ月間かけて本当に川村屋を再開できるのか話し合いを重ねて、ようやく父にも覚悟が伝わって再オープンに向けて始動することに決まりました

再オープンに向けた大きな課題

ここまでに書いてきたような決意や葛藤、家族内での話し合いの末、約6ヶ月の閉店期間を経て2023年9月1日から長年営業してきた桜木町駅の改札横で場所を変えずに再オープンすることに決まりました。現在、勤めていた会社を退職して、父と母の全面サポートを受けつつ再開に向けた準備を進めています。
しかし、出汁取り名人のスタッフは復職の意思を示してくださいましたが、多くの方がすでに退職しており、現在再オープン時のスタッフが全く足りておりません。

そこで、この記事を読んでいただいた皆さんにお願いがあります。
こちらの記事をSNSや皆さまの周りの方にシェアしていただけないでしょうか?
ご協力いただけるととっても嬉しいです。

そばやうどんの賄いもありますので、お客様として足を運んでいただいていた方の中でも川村屋で働きたい方がいらっしゃいましたらぜひご連絡いただけると嬉しいです!
学生さんや主婦、70代の方までどんな方でも応募可能ですので、少しでも川村屋で働きたいと思ってくださった方、ぜひ一度お話しさせてください!

具体的な勤務内容はこちら

今回の再オープンにあたり賛否両論あるかと思います。お客様の期待にしっかりと応えることができるよう、精一杯努力して参ります。
9月1日から変わらぬ味とサービスでお客様をお迎えしますので、ぜひ桜木町にお立ち寄りの際は川村屋に足を運んでいただけると嬉しいです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。
改めて新生川村屋をよろしくお願いいたします。


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