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2022.03.06 『引きの一手、クラゲのように』@両国 シアターX

東京マラソンによる怒涛の通行止め、ぶつけられた車の修理も重なりやむなく乗り込む総武線。窓からランナーを見下ろしつつ両国で下車、シアターXへ向かう。

本日開催されるは「山野博大・長谷川六追悼 舞踊と批評の60年」── 批評家・編集者:志賀信夫氏の呼掛けにより、昨年逝去された故人を偲ぶ方々が舞い語らう追悼イベント。ロビーに掲げられるご遺影、観客席を埋め尽くすロマンスグレー。舞台上で次々と手向けられる身体を立ち見席の隙間から眺め、存ぜぬ故人らに謎の思いを馳せる。

公式ホームページもアツい


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頭にサランラップを巻いた、川口隆夫氏と共に待つ舞台袖。三浦一壮氏、さらに渡邉拓也氏&藤田真之助氏も同様だ。傍らに佇む吉本大輔氏、縁の下でのサポートは田辺知美氏と立石裕美氏。サウンド:和田翼氏、衣装監修:北村教子氏、ドラマトゥルグ:呉宮百合香氏という布陣の中、ひょいと現れた津田犬太郎氏が私の頭にもサランラップを巻きはじめる。息ができない、とりあえず鼻に穴をあけよう。

この比類なきカオスのタイトルは『引きの一手、クラゲのように』。舞台裏に変な神棚を発見して勝手に二礼二拍手一礼していると、皆さん粛々と暗転の闇へ姿をくらましていった。

写真:和田翼



既に何もかもが分からないが、下手に弔ったふりしたら祟られかねない気はする。奈落の底で蠢く先人の屍と燻された淘汰を知らんなりに学び、踏み散らして新しい裏道探そうと部外者オブ部外者の私は思ってしまった。

やがて終電を逃し、献花の白いカーネーション片手に彷徨う凍ゆるむ朝方。堪えきれず立ちションするとホカホカと湯気が立昇り、それはビルとビルの間から差し込む日の出に照らされて輝いて。ふわり揺蕩う亡霊の如き蒸気、今しがたの尿溜まりに献花を置いて去る。

白いカーネーションの花言葉を検索。
── 純粋な愛、愛の拒絶、尊敬、亡き母を偲ぶ、私の愛は生きています ──


©志賀信夫


ソライロヤさんにお逢いできたのが、地味に嬉しかったの。

川村美紀子

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