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2021.12.04 『Bluetoothイヤホン圏内』@WITH HARAJUKU PARK

老朽化のためリニューアルされていたハリボテの原宿駅。旧フォルムをアバウトに残しつつ、木造建築の味わい深さのみ取り除かれた。うんざりするほど黄色い銀杏並木、知らぬ若者が写真を撮っては歩き去ってゆく。私は昨年オープンしたという商業施設の地下駐車場へ進入し、ベンツとポルシェの間に震えながら駐める。

このブルジョワジーな施設内のイベントスペースにて開催されているのは『WITH HARAJUKU コンテンポラリーダンスフェスティバル』。総合プロデューサー山本裕さんにより招かれたアーティストが、二日間日替わりで作品を上演する企画。


未来を紡ぐたまり場。入口のモスキート音がえぐい


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亀頭可奈恵さんと共に、南房総の海や山で踊り出すというリハーサルをしていたのは先月のこと。スマートフォンに接続したBluetoothイヤホンの右側を差し出して私は左側を装着、互いに音が途切れない範囲を探る。

呼吸音が増しゆく登山、電波が遮断される絶壁、反響する要塞、コケに滑る波打ちぎわの岩場。様々なシチュエーションで互いの距離をはかり、登場する野生動物や人間らも適切な距離をうかがっているようだった。


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そんな創作期間を経て、ひらけた原宿の庭からビル群を眺める。昔はラフォーレあたりまで〝源氏山〟と呼ばれ、わりかし小高い土地だったそうな。一方亀頭さんは礼儀正しく並んだ庭の植栽を見て「ここに植わってる木々たち、エリート集団って感じですね!選抜された奴らですよ」と元気よく言った。確かに小綺麗に整備されている。人々とともに距離感を観測し合うこの即興を『Bluetoothイヤホン圏内』と名付けた。



巷の対策により、人々とは2メートルの距離を確保

©USHUN 


お客様のご厚意で再生ボタンが押され、無事に始めることができました。
装着したBluetoothイヤホンからベートーヴェンが流れます

©池上直哉



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かたわらに植えられたエリート楓もうっすら紅に染まりつつ、ピンク色に反射するビル群が知らせる夕暮れ。冷めやらぬ心か温暖化か、冬の到来を遅く感じます。

楓の花言葉を検索。
── 調和、美しい変化、大切な思い出、遠慮 ──



余談ですが、ニット編みました
©池上直哉



川村美紀子

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