奥行きのある表面へのまなざし -《目白の間抜け》について-
24-MAY-2018
この計画の大きな方針として部屋を改修可能にするということが挙げられるが、その計画の枠組みは置いておいてマテリアルの扱いに特徴があるなあと思った。
ワンルームの空間なので、何か新たに空間的な分節を設けるということは行わず、手を入れているのは床、壁、天井に当たる部分である。
まずそれぞれについてどう見えたかを下記に幾つか記す。
床/
・段差がついて切り替わるフローリングと土間
壁/
・ポリカ/木下地/CB壁
・クリア塗装(及び反射)/型枠合板の塗装面/合板本体
・白塗装/PB/梁との取り合いから垣間見える背後のRC躯体
天井/
・梁越しに切り替わる木毛板部分とクリア塗装のRC躯体
窓枠/
・アルミテープ(及び反射)/木材(でこぼこから想像される)
これらから感じたことは、単に面に当てがわれた物質ではなく、その奥に想像される空間的な広がりである。
この手つきは単純に改修可能性のために、そのつくりを読解可能にするということ以上に、否応なく近距離でものに囲まれてしまうワンルームにもう一つの広がりを与えようとしているように見えた。
そして、この手つきは、窓ガラスに映る外の風景(隣の建物の外壁、道路を挟んだ向かいの木立 ーなぜかどちらも少し抽象的に切り取られているー)を取り込み、奥行きへの想像力はワンルームという区画をひょいと超えていくように思われた。
小島君がこの空間に込めたであろう自由さの一面はそう言ったところに現れているのではないかと思った。
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