見出し画像

源氏物語を読みたい80代母のために 3

やばい、電話したらもう「ひかるのきみ 弐」をもう少しで読み終わるだと!うわああ!「参」の用意はほぼ出来てるけど紙本にするのにもう少しかかる…(オンデマンドなので)っていうか大丈夫なのかこのご時世に。いやむしろ今だからこそ作るべきじゃないかしら、と思うのでサクサク注文しておきます。とりま電子書籍をアップしようそうしよう。

で、母のためのみならず私のためにもメモ。大和和紀さんといえばもちろん「あさきゆめみし」、そして「はいからさんが通る」だが、その前に出していた平安ラブコメをご存知の方はいらっしゃるだろうか。

その名も「ラブパック」!(hontoサイトよりスクショ↓)

無題

1973年から1974年にかけて週刊少女フレンド(懐かしい!)に連載していたこの漫画、平安パロディとしてもラブコメとしても本当によく出来ている。私が読んだのは多分「はいからさん」を読んだ後だったと思うけど、その当時でも凄く気に入って何回も読み返した。実家にて存在は確認済だが、何しろ取りに帰れない昨今なので(悲)この際電子書籍購入してみた。そしたら期待以上の面白さ!とても40年以上前の漫画とは思えない(今書いてみて驚いている…40年…ええええー)。

昔ハマった漫画や映画というものは大体思い出補正されていて、改めて観るとがっかりすることも多々あるのだが、全くそんなことは無かった。ガチで感動した。この時代に、この漫画を描いた大和先生はやっぱり天才だ。

で、何で急にこの漫画を思い出したのかというと、年末にこんなブログ記事を書いたから。

年末年始おさ子おススメ漫画スペシャル其の一

とはいえわざわざリンク先に行って読むのも面倒でしょうから、抜粋:

画像2

あまり細かく確認せずに書いたのだが「大和和紀さんの歴史物系漫画の最初」というのは合ってた(wikiより)。このあと「レディー・ミツコ」描いてますね。明治時代にオーストリア貴族と結婚した日本人女性の話(こっちも面白い)、その直後に「はいからさん」。すごい、繋がってる。

電子書籍にはご本人の後書きがついていて、そこでも初めて知る事実がテンコ盛りで興味深かった。「ラブパック」には源氏物語の登場人物の名前がついたキャラが沢山出て来るのだけど、特にそれが「あさきゆめみし」につながったわけではなく、どっちかというと「はいからさん」のラインだったという。平安時代の事もよく知らず十二単もテキトーに好きなように描いちゃった、ということだったが、いやいやご謙遜で、とてつもなくアレンジが上手くてカワイイ。考えてみればその前に「モンシェリCoCo」(1971)を描いてる。日仏混血のファッションデザイナーの話である。こちらも納得のハイセンス。

さらに、再読するまですっかり忘れていたのだが、何と男装の麗人の検非違使長官まで出て来てた。まんまオスカル様じゃん…!と思って調べたら、案の定ベルばら連載は1972-1973。筋立てまで何か似ている。

あとはやはり手塚治虫。最初の頁を(PCで)開いた時、ものすごく手塚治虫みを感じた、動きとかセリフ回しとか。あの時代の漫画家であれば当然といえば当然なのだが、当時は全く気付いていなかった。

こういう、何が元ネタとか、誰の影響とか、若い頃はさして気にしていなかったし知ったところでピンと来なかったが、今ならわかる。ひとつの才能が生み出す別の作家作品は、プロからアマに至るまで途轍もない数だ。結ぶ線はそれこそ無数。そういう図が頭に浮かぶようになったのも年齢と経験の成せる技。年を取ることも案外悪くないと思える。

伝統工芸士である80代母も、先人の技術を学び、守りながら発展させ、新しいものを生み出すということを積み重ねてきた人だから、そういう感覚は肌で理解しているのだろう。だからこそ出て来た「源氏物語が読みたい」だ。この「つながり」を実感できるまでにハマってくれるといいな。

まだつづく。

(コソコソ……「ひかるのきみ」ご興味を覚えた奇特なお方はこちらへどぞ)


「文字として何かを残していくこと」の意味を考えつつ日々書いています。