ワシマ、再び。
以前こちらで触れた「ワシマ」、第二弾が明日8/4午前0時より始まるようです。前回とはまた違う面白ラインナップ、和紙にご興味のある方は是非のぞいてみてください。なお売上の10%は熊本豪雨の緊急災害支援金として寄付されるとのこと。
さて、地元の若者たち主体で行われるこのオンラインイベントは、コロナの終息がいまだ見えない中、「外」と繋がる手段のひとつでもあります。それも単に物を売るというだけではなく、福井県越前市という決して規模の大きくない自治体の、そのまた小さな「和紙の里」エリア、そこでの暮らしや習慣や歴史をも垣間見せる、「ワシマ」はそのバーチャルな扉ともいえます。
リアルな繋がりにブレーキがかかってしまっている現状、ネットで繋がる道を選ぶのは当然、何も新しいことではなく、世の中にはあの手この手のオンラインショップが既に無数にあります。だけど「ワシマ」のごとくその土地への扉が開かれ、また閉じるという感触は中々、ない。暮らしに添った形で期間限定開催しているということ、生産者自身が企画から製作から梱包・出荷まですべて行っているということもありますが、何より大きいのは、やはり「和紙の里」そのものがもつ力でしょう。「伝統」と言ってしまうと簡単なこの言葉は、案外深いです。
「伝統の担い手に伝統をよりよきものに精練したいという願いがあれば」「外発的な衝撃を契機として、古い遺産のなかからより真なるもの、よりよきものが抽出され」「新しい状況に適応するように再構成、再解釈された形で伝統はしばしば強調」される。「伝統は過去のそのままではなく、過去の特定の部分が新様式と組み合わされて再生産されたもの」「伝統は創造の要素」であり「内発的な創造は、このように伝統に基づいて行われることが多い」。【日本大百科全書(ニッポニカ)解説より】※強調、「」は筆者による
その土地に住む者が、そこに流れている何かに日々触れともに暮らすうちに、知らず知らずその何かを基底とした新たな流れを創っていく。まさにその過程を今見せられてるのではないかしら、とその土地で生まれ育ち今「外」にいる私は思ったりしています。
8月4日、和紙の日の午前0時に扉が開く「ワシマ」の世界、どうぞ覗いてみてくださいませ。
「文字として何かを残していくこと」の意味を考えつつ日々書いています。