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大河「光る君へ」(3)謎の男

※「源氏物語を読みたい80代母」のための企画です。最終回までこの形式で続ける所存。思いっきりネタバレ全開なのでご注意くださいまし。
お喋り役の平安女房ズは以下:
右近(右)、侍従(侍)、王命婦(王)、少納言(少)

【女房ズトークの前に早口でお詫び】 前回の(2)は興奮のあまり、
「源氏物語を読みたい80代母」
 のための企画だということをきれいに忘れ去って喋りすぎました。母から
「かえってワカラン!」
と苦情が……す、すみませんすみません。裏設定やら匂わせやらを追うあまりにストーリーがお留守に……いやだってさあ毎回Twitter(x)じゃ私なんぞ塵芥ちりあくたレベルのニワカオブニワカと実感せざるを得ない情報過多かつ超絶マニアックトークが繰り広げられていますもので、完全にスケール感がおかしくなっちゃって。今後はちょっと、いやだいぶ控えめに、を心がけます。ええ。

侍「右近ちゃーん!!!」
右「なあに侍従ちゃん。耳痛いわよ」
侍「ごめーん☆だってだってさあ、何このイケメンパラダイス!先週の話じゃ『雨夜の品定め』モチーフだって聞いてたのに、看板に偽りありよ逆方向に!!(歓喜)」
右「確かに、本家の『帚木ははきぎ』の方じゃヒカル王子と頭中将はともかく、ウチのバカ兄とオッサンだもんね(笑)話の内容ももっと下世話だし無駄に長いし」(ひかるのきみ「帚木」参照)
侍「右近ちゃんたら辛辣すぎイ!」
王「ドラマとしては、この先の時代を背負って立つ
『平安F4』(藤原4)※1
の紹介って感じね。藤原道長・公任きんとう斉信ただのぶ行成ゆきなりの四人」
少「公任さま、本当に素敵でしたわ(うっとり)ヒカルさまのモデルの一人とも言われる方に相応しいビジュアルでしたわね。あの場の役柄としては頭中将さまなのでしょうけど」
右「あら、二人お揃いで」
侍「やほー♪いらっしゃーい!お茶とお菓子ありまぁす♪」
 しばし皆で平安お菓子「よりより」(=唐菓子)とお茶を啜る。 
王「思ったけど、まひろちゃんにしても道長くんにしても『父との確執』がひとつのテーマとしてあるわね。二人ともそれぞれの理由で父とわかりあえない苦しさを抱えている。特にまひろちゃんは既に重症かな」
右「母の遺品の琵琶をみての涙、ああ今ここにお母様がいたら……って涙よね。同じ間者(スパイ)しにいくって話でも、お母様経由ならあんなあからさまじゃなく良い感じに繕っただろうし、衣裳どうするかとか、向こうでどう振る舞うかの心得とか、母と娘ならキャッキャしながら話し合えたところよ」
少「まひろちゃん、まだ十代ですもの。お父様に対する失望と反抗心が、まだ残っている尊敬や愛情とないまぜになって複雑ですわね……源氏物語の作中でも『母を早くに亡くした娘』が如何に可哀相か、面倒なことになるか繰り返し語られておりますもの。紫式部さんご本人も折々にああして『母の不在』を噛み締めておられたのかと思うと、感慨深いですわ」
侍「いやー倫子さん邸でのまひろちゃん、空気読めないムーブヤバかったもんね。いくら親戚筋っていっても向こうは完全に身分上デショ?あまりにも無防備っつうか素直すぎっつうか……さすがのアタシも、いやいやいや待って?真剣勝負の場じゃないのよこれはいわゆるひとつのお接待イ!って叫びたくなったわ」
右「さすがのアタシって何(笑)まあ偏継へんつぎなんてそりゃまひろちゃんにとってはお茶の子さいさいの楽勝遊びだろうけど、初対面の女子ズ相手に一切手加減なし・女主にすら一枚も取らせないって普通にヤバいわよね。おまけにあの赤染衛門※2パイセンにまで『すごいですね!合ってます』とか……ヒエエエエってなったわ」
王「また倫子さまの笑顔と執り成しがね。まひろちゃんの性格から能力からすべてを読み切り、かつ場の雰囲気を微塵も揺るがせず収める完璧なご対応。なかなか食えないお姫様よ。まひろちゃん全然気づいてなかったけど」
少「結局、まひろちゃんもお父様そっくりってことなんですよね」
右「ほんとそれ。賢いけど空気読めない・嘘つけない・世渡りが壊滅的に下手。父娘のギクシャク場面の後にコレだもん。脚本の方も相当のイケz……いや心憎いわ」
王「そうそう、今回も女房ズの心の声よかったわね(黒微笑)。実資さねすけさんの『調査』に対する無言のブーイング、実際に何か言われるわけじゃないけどひしひしと漂うトゲトゲしさと圧。あれこそ平安の『人笑はれ』よね。怖いわあ」
少「まひろちゃんもいずれ浴びるわけですね……その洗礼を」
侍「(ヒッ)と、とりあえず次回は五節の舞姫よー!選りすぐられたカワイ子ちゃんたちが舞い踊る華やかなステージ!まひろちゃんは勿論センターかな☆乞うご期待!また来週ー!」
※1:「平安F4」:平安の藤原四人組、ということらしいです。「F4」の元ネタは漫画「花より男子」で「育ちのよいイケメン男子4人組」の通称だそう。
※2:平安時代を代表する女流歌人の一人・赤染衛門あかぞめえもん。文章博士・大江匡衡の妻。紫式部の将来の職場における大先輩となる人。

 というわけで今回も盛りだくさんでした。女房ズを以てしても全ては語りつくせない。たとえば道長とまひろの恋模様……個人的にはあの二人、まだ恋になるかならないかは微妙なところじゃないかと思います。お互いに引き合うものはあれどそれが何なのか自覚はない、ただ会って話をしたい気持ちだけ……くー、たまりませんねこういうの!源氏物語を読んで続きは?続きを早よ!とワクワクしてた平安人たちもこういう気持ちだったんでしょうか。
 散楽もどうやら毎回出てくるっぽいですね。なんと、正倉院の絵図を参考に作り上げたオリジナルだそうですよ。
 私は「困ったときは正倉院」とよく言っているのですが、日本の文化に関しては、正倉院を丹念に調べれば、わからないことはまずありません。
をしへて! 友吉鶴心さん ~アクロバットも! 平安時代の芸能「散楽」とは より)
 すごいの一言です。
 そして、裏に潜む陰謀の数々……毒を盛る云々は置いとくとしても、円融天皇と兼家(道長の父)の不仲は史実。兼家の「自分の孫を一日も早く天皇にして政治の実権を握りたい」という目的もおそらく本当にそうだったんでしょう。その目的達成のために何をどうするか。あまり良い予感はしません。陰惨な裏工作とそれによりもたらされる結果、その先の未来……いやー、やっぱり中々のイケズですわこの話。怖い怖い。
<つづく>

「文字として何かを残していくこと」の意味を考えつつ日々書いています。