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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

【感想文】最近見た映画の羅列

※ネタバレ等に配慮しませんので、苦手な方はご注意ください。

『オリエント急行殺人事件』(2017年公開)

お恥ずかしながら、アガサクリスティーを読んだことがなく、それどころかコナンドイルすら読んでいない体たらくなんですが、先日ケネス・ブラナー監督主演作品の『名探偵ポワロ:ベネチアの亡霊』が公開されるとテレビで見たので、せっかくならこれを機に見てみようかなと思った次第です。

ストーリーはあまりにも有名だと思うので、そのまま感想を。
映画の緩急は非常に好みでした。実にイギリス人らしい皮肉たっぷりのセリフ回しや、冒頭のちょっとコミカルな犯人との対決(?)がキャッチ―で、難なく世界観に入りこめた感じです。ミステリの初心者でも見逃さないようなちょっとしたフラグを立てつつも、時代背景をうまく取り入れていることで、視聴者を納得させていく。
何よりも背景が好みですね~~~~!!!!衣装がとにかくかわいいし、電車内の内装もドンピシャです。ぜひあの列車に乗ってみたい。ちなみに私は名探偵コナンが大好きなので、もちろん脳裏には「ベルツリー急行」が浮かびました。車掌が廊下を見張っているような構図は本当なんだな~なんてぼんやり考えているうちに事件が起こり、アームストロング家の誘拐事件が浮かび上がっていく。
私がポアロならどうするでしょうね。おそらく、今の日本であれば、夜盗に殺されました!な~んていう簡単な結末に納得するはずもないので、いずれ暴かれてしまうなら真実を伝えよう、という「保身」を選ぶと思います。何が正義とか、何が彼ら遺された家族にとっての救いになるかなんて考えず、さっさと真実を法に差し出し、自分は清廉潔白のまま生きていこうと考えるでしょうね。それが一番楽だからです。見ず知らずの、たまたま乗り合わせた乗客のために、今後一生罪を背負って生きていくという覚悟は、私にはできない。
「正義」であることが誰にとっても救いになるとは限らない、というのは、最近よく感じることでもあります。主にネットを通じてですが、自分が正しいと思っている人間の言葉は、十分凶器になり得ます。
この話の正義はなんだったんでしょう。そもそも正義とは、という議論があるのは百も承知ですが、ミクロに考えると人を助けるための嘘を許す余白が、この社会にはもう少しあっていいのではないかと思いました。
もちろん、人殺しを許すつもりはありません。復讐のためなら人を殺していい、という話ではなく、あくまでも現代の法の下で許される範囲にはなってしまいますが、嘘に対して寛容であることも美徳だと思うんですよね。
ポアロの選択がいいか悪いか、私に判断することはできませんが、1つの物語として、非常に奥が深いと思います。当たり前ですけど。これがミステリの名著の神髄か、と思い知りました。

『ホーンテッドマンション』(2023年公開)

こちらは映画館で。ホーンテッドマンションのアトラクションが好きで、ホラーは苦手ですが、あのアトラクションに出てくる幽霊は妙に人間味があるというか、終わった後に楽しい気分になれるアトラクションなので、これが題材ならホラー耐性がゼロの私でも大丈夫だろう、と思って見に行きました。
終始おもしろかったですね。爆笑のほうのおもしろい、の意。私は霊媒師がすごく好きです。普段洋画は字幕でしか見ないので、吹き替えに若干の抵抗があったのですが、今回は吹き替えでちょうどよかったかもしれない。テンポ感命の映画でしたね。
なんて悠長に考えていたら、え?嘘、めっちゃ泣けるじゃん…みたいな。最初単なる別れ話かな、と思っていたんですが、まさかの死別であり、ベンが妻への後悔を口にする場面は涙が出ました。
一番印象深かったシーンは、霊媒師が「ふとしたときに父を感じる時がある」とベンを励ましたことを前提に、最後犬の名前が「テイタートッツ」なのを見て、ふとアレッサを感じた(であろう)ベンの姿が、目に見えて前向きではなったわけでもないけど、少しずつ妻がいないことを理解しはじめたように見えて、そこが一番私にとっても救いでした。
いつかヒカルパイセンこと宇多田ヒカルさんが「亡くなった方に対して後悔するのは自然なこと」としたうえで「「乗り越える」のではなく、自分の心の風景の一部なんだって思う」とおっしゃっていたことがありました。ありていにいうと、それが「受け入れる」ということになるんでしょうか。死別に限らず、大きな挫折に対して「乗り越える」のではなく「いつまでもその気持ちがあって当然」と受け入れるというのが、優しさを感じて好きです。そんなことを思い出しました。

『ミステリと言う勿れ』(2023年公開)

原作から好きなんですが、細々と菅田将暉さんのファンもしているので、見に行ってまいりました。その差9分とは言え2時間超えるのか~なんて一抹の腰痛への不安もありましたが、個人的には重要な部分を端折らずに、丁寧に映画化していただいたな~と思っています。原作を読まず、連ドラ版も見ていなかった夫が素でおもしろかった、と評していたので、私までうれしかったです。初見の方も無理なく楽しめるっていう観点に気を配りつつ、原作ファンが満足するように作るというのは、結構難しいだろうと思います。
はじめ、すみません、批判とかではなく汐路の印象が原作のイメージと違っていて(もっと生気のない、細身でこざっぱりした印象でした)、どうなるだろうなと思っていたんですが、そういう浮世離れした子どもではなく、「居そう」な女の子であることで「乾く前のコンクリート」がひしひしと伝わってきました。大人びた子ではあるんですが、それでもやっぱり「子ども」なんですよね。そのことが自覚させられるという点で、素晴らしいキャスティングだったと思います。
ホーンテッドマンションの10倍怖かったですね。ちょっと和製ホラー感があるというか、日本人形が怖いだけともいうんですけど。
私的に常々思うことといえば、刑事の皆さんは数年前の事件を、何の資料も見ずに、あんなに流ちょうに思い出せるものなんでしょうか。当時疑問に思ったことなんて思い出せるかなあ。でも結構ある描写ですよね、当時は時の権力で操作を中断した刑事が、後輩の主人公に託すために捜査情報の細部にわたって伝えたりであるとか…長年追い続けてれば思い出せるものなのかな。
あとすっごいしょうもないこと言いますが、オレンジジュースを飲む滝藤賢一、ちょっとCMでありそうじゃないですか?
ほかにも断片的にいろいろな感想があるんですが、最後にこれだけ。
私は理紀之助のことが本当にタイプです。天パが取れかかってる髪の毛をさわりながら「りきくん美容院そろそろだね♡」って言いたい。ちなみに私もド天パなのでわかりますが、これを言われたら心の底からキレます。つまり私は理紀之助さんに怒られたいという欲望です。ご清聴ありがとうございました。

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