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カンヌライオンズ2023速報 by 銀河ライター【1日目】

70周年を迎えたカンヌ。世界の2大関心事とは?


始まりました、カンヌライオンズ。今年で70周年を迎えた世界最大級のクリエイティブ祭です。

今回もnoteにて、フェスティバルの速報をお届け。会期中はほぼ連日、早朝4時ごろ公開の予定です(※日本時間。現地時間では21時頃)。

記事公開時のお知らせ(リンク)は、筆者のTwitterとFBにて。当初はグランプリ中心のご紹介ですが、徐々にアップデート。余裕が出てきたらセミナー等の話題も入れたいと。

今年は「AI」と「DE&I」が2つのメインテーマとされていますが、どうなるでしょうか。帰国したら、長めの振り返りレポートもまた書きたいと思います。

では早速レポートを。今日はヘルス系部門、アウトドア、プリントなど計5つの部門&スペシャルアワードが発表になっています。

※クレジットは以下の順です。

①施策タイトル
②企業名(ブランド)/商品名
③企画/制作会社(エントリー企業)
④エントリー国名

ヘルス&ウェルネス部門

The Last Performance
Partners Life/Life Insurance
Special,Auckland
Newzealand

ニュージーランドは世界でも生命保険の加入率が低い国として知られる。

通常の施策ではこの状況は変えられない。そこで生命保険会社「パートナーズ・ライフ」は、生命保険に対する人々の先入観を“破壊”するようなキャンペーン「The Last Performance」を実施した。

6週間にわたり、ドラマ「ブロークンウッド・ミステリーズ」の各エピソードの最後にコマーシャルが放映される。CMの内容はドラマに連動している。

例えば、エピソード1の後、エンディングのクレジットが流れる前に、このシリーズの最初の殺人事件の「被害者ジャニス」を演じた俳優を起用した30秒のスポットが流れる。

ドラマ内で殺害されたはずのジャニスだが、CMでは生き返る……。彼女はカメラを見て「これは予想外だわ...息子たちは、これからママなしでどうしたらいいの? ごめんね、生命保険入ってないの」と嘆く。


ファーマ部門 

The Scrolling Therapy
Eurofarma
Dentsu Creative Buenos Airesほか
Argentina+USA

製薬会社Eurofarmaがリリースしたアプリ。顔認識のAIツールを活用している。パーキンソン病の患者が笑顔を見せるなど、顔の筋肉を動かす(表情を変える)ことでSNSにリアクション(いいね)できる。スワイプなどの操作も表情で行う。

パーキンソン病の患者が顔の筋肉を活発に動かすことは、筋萎縮や顔面運動能力の低下を遅らせる効果が期待される。しかし、鏡の前で長時間のリハビリをすることは苦痛ともなりかねず、実行する人も少ない。SNSを閲覧するという息抜きの時間を活用して、患者をサポートする技術を提案した。


ヘルス・グランプリ・フォー・グッド

Working with Cancer Pledge
MSK
Publicis他
USA+France+United Kingdom

がん患者の50%が、雇用主に自身の病を伝えることを恐れているというデータがあるという。雇用を失ったり、いまのポジションから外されることを懸念するためだ。

このプロジェクト(#workingwithcancer)には現在Pfizer、TOYOTA、META、Unileverほか400社近くの企業が参加を表明。職場に存在するがん患者に対するスティグマ(偏見)と当事者の不安の払拭を目指し、オープンにサポートできる企業文化を生み出そうとしている。


プリント&パブリッシング部門

Newspapers Inside The Newspaper Edition
AnNahar Newspaper
Impact BBDO
United Arab Emirates

レバノンでは以前より、政権を公に批判する人々が弾圧されてきた。何十もの新聞社が閉鎖され、暗殺されたジャーナリストも存在する。

自由な言論の火をたやさぬため活動する「AnNahar」(アンナハル新聞)は、報道は不滅とのメッセージを伝える特別号を企画。

一面はアンナハル新聞だが、紙面をめくると休刊を余儀なくされた6紙が各面に復活(新聞内の新聞)。かつてそれぞれの新聞社に所属したジャーナリストたちが記事を担当した。アンナハル新聞は昨年もこの部門でグランプリを受賞している(The Elections Edition)。


ラジオ&オーディオ部門

Phone it in(Lawyer,Ad Agency,Strip Club)
Skinny/Tele communication
Colenso BBDO,Aukland
NewZealand

Skinnyは「格安」を売りにするニュージーランドの通信会社。価格を安くキープするためにはどんなことでもやる。そのため「広告費はできる限り安く、しかし話題にする」がモットーだ。

そんなSkinnyがラジオを用いたキャンペーンを実施することになったが、ラジオCMの「制作」にまでかける予算はない。そこで看板やローカル新聞、SNS、コーヒーカップ、コースターなど比較的お金をかけずに出稿可能な媒体に、CMのスクリプト(文字コンテ)を34タイプそのまま掲載。見た人に電話をかけて朗読してもらうよう呼びかけた。

つまり、その告知を見た人が自発的に、“留守電”に吹き込むだけで音声CMが完成する。スクリプトは掲載場所・メディアにちなんだちょっとユーモラスな内容になっている。結果、2560の音声広告がユーザーによって生成され、前年同期比34%増の新規契約増などの成果が出たという。


アウトドア部門

A British Original
British Airways/Travel
Uncommon Creative Studio,London
United Kingdom

この旅の目的は? 仕事? 観光? それ以外? 航空会社のアンケート等でよく見かけるチェックボックス。しかし、人が旅に出るのは、そんな大ぐくりの選択肢だけでは説明できないはず。

ブリティッシュ航空は、「ビジネス」「レジャー」しかない単調なチェックボックスに、"第3の目的(その他の内容)”を具体的に500パターン追加。そのビジュアルをビルボードやサイネージなどOOHをはじめ、テレビCMやシネアド、SNS他でも展開した。

"第3の目的”としては「いたずら(のため)」「パスポート写真を撮るのに5時間もかかった(ため)」「昨日、吐息が白くなった(ため)」などの珍回答(コピー)が並ぶ。

ちょっと凝りすぎ? なのか、よくわからない気もしました。アウトドア審査員長によると、事前勉強会で話に出た「Lacoste」「The last photo」(Gold受賞)などもGP候補だったとのこと。

個人的にはそれら推しですが、どうなんでしょう? 同じように感じたプレスもいたのか、海外のメディアからGPジャッジのプロセスに関して、いくぶん突っ込んだ質問も出ていました。


注目セミナーも多数開催。ローカル発信の可能性とは?

セミナーでは今日は、Pfizerや博報堂主催のセッションに行きました。写真をご紹介します。

※私の場合、午前中のプレス向けプログラムに参加した後でセミナーを聴きに行きますので、セミナー参加数がかなり限定されてしまうのですが、実際にはもっと大量に開催されています。

Pfizerのセミナー。「ハフィントンポスト」を創刊したことで知られるアリアナ・ハフィントン氏がモデレーターとなり、PfizerのCMOらとトークする。
「Unimagined Cultural Solutions」をテーマに木村健太郎氏らがトーク。3つのキーワードで"ご当地クリエイティブ(ローカル発信)”の可能性を深掘りする。

では、今日はこんなところで! また明日。


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