メソッドゼロ

レビュー提供: 石川 直さん

これを読んで本質を捉え
進むべき方向を見出せ!

せっかく長い時間をかけ鍛錬訓練を繰り返すのであれば、正しい方向にその時間を費やすべき。
ズレが重なると、気付いた時には損をしているかも?

この本は、ドラム上達に越えないとならないハードルを「間違えずに越えてほしい」という著者の後輩への想いが詰まっている。
多くの人が捉え違いをしがちなポイントやぶつかりやすい壁の越え方を、スティック操作を含む基礎を見つめ直す視点から、丁寧に細かく説明している。

これからドラムを始める人たち、始めて間もない人たち、スティックコントロールの基礎を再考したい人たち、何故かスティックが手になじまない、叩いていて気持ち良くない人たちにはオススメ。

情報過多な今日、情報それのみの価値は下がり続けている。
そんな中、役に立つと思われる情報を、その人の確固たる技術や性質レベルにまで取り込むことができれば、価値に繋がる。

情報とは、血となり肉となる過程のあくまで “入り口” もしくは “種” に過ぎない。
集め得たら、それを正しく理解し、記憶し、体系化し、常習的に実践し続け、熟成させ、更に慣れ親しむことで、いつしかその人の “性質” になる、血肉になる。
役に立つ “結晶化された知識” にまで昇華させて初めて意味を成す。

多角的に捉えられる能力を身につけるのは理想的なこと。
おそらく現在はまだ少数派に入るであろうこの中部流の捉え方を知ることに損はない。
派手なパフォーマンスといった ”見た目” に捉われやすいマーチングドラムにおいて必須の基礎エクササイズ “エイツ” を軸に、 “いそがばまわれ” 的なアプローチで、僕自身も「その通りだ」と思う捉え方が複数、解説されている。

人生は取捨選択の連続。
だからこそ、適切な選択を導くにはより多角的に物事を捉える力を身につけることにも価値がある。
信用の置ける先人、素晴らしいと思える先人、気になる先人から、その気付きを学んだ上で取捨選択してもいいだろう。
「ミュージシャンシップ = 人生観」 という意味で、自分の人生目標に沿った演奏技術や表現方法を身につけるためには、多見多学は大切である。

理想的表現を形にしたいと思っているならば、更に磨きをかけるためにもこの教本はオススメ。
知り、再確認できる得が数多く披露されている。
マーチングパーカッショ二ストにかかりやすいバイアスを外す手立てになる、現状維持脱却にはもってこいの一冊。

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