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ブラウン

11月ぶりに前髪以外の髪を切った。少量だったからか、やはりあの時と同じく躊躇いはなかった。でもやっぱり自分を減らした感覚はあった。「減らしてしまった、切ってしまった」はいつだってある。前髪を切るときだってそう。少し凹むのだ。

だから次の日の学校で「前髪切った?」と聞いてきてくれる人は大好きで、少し減ってしまったわたしを直ぐに気付いてくれるところに愛を感じてしまう。そのせいできっとあの体育教師も好きだったんだと思う。


前髪の変化に気付いてくれる人=わたしの細かい部分をよく見てくれている人だと思っていて、実際にそういう人たちは直ぐにネイルだとかカラーコンタクトの色の変化に気付いてくれたりする。うれしい。


わたしはきっと面倒くさい女なんだと思う。


小さな変化を遂げた次の日はいつも心の中で人を試している。「あれ?」を待っている。気付いてくれるまで敢えて声を掛けない。だが視線は送る。大体はそれで気付かれる。結局自分から仕掛けて「前髪切った?」を言わせることが多い。何とも面倒くさい。


わたしはきっと今の性別じゃなかったとしても面倒くさかったんだろうと思う。


だがそれでいい。それを可愛いと言ってくれる人もいるし、今更全部変えることもできない。明日また新しいカラーコンタクトを買うけれど、何人が「あれ?前使ってたのと違う」と言ってくれるのか。きっとまた数えてしまうんだろう。それでまた勝手に満たされて次も違う色のカラーコンタクトを買う。


似合ってもないくせに。

#ミスiD #ミスiD2019

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